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スキーマの管理とマイグレーション

スキーマシェルはスキーマオブジェクト、SQLダンプを作成したり、スナップショットを作成、 保存する機能を提供します。

スキーマファイルの作成と使用方法

作成したスキーマファイルを使うと、データベースに依存することなく簡単に別の環境へ移植できます。 また、既存のデータベースを使用してスキーマファイルを生成することもできます。

$ Console/cake schema generate

上のコマンドで schema.php ファイルが app/Config/Schema ディレクトリに生成されるはずです。

注釈

スキーマシェルはモデルが定義されたテーブルのみを対象として処理します。 強制的に全てのテーブルを対象にするためには、 -f オプションを加える必要があります。

前もって作成した schema.php からデータベースを再構築するためには、次のコマンドを実行してください。

$ Console/cake schema create

schema.php の中身に沿ってテーブルが再構成されるはずです。

スキーマファイルは SQL ダンプファイルの作成に使用することもできます。 CREATE TABLE 文を含む SQL ファイルを生成するには次のコマンドを実行してください。

$ Console/cake schema dump --write filename.sql

ここで filename.sql には SQL ファイルとして出力したいファイル名を指定します。 filename.sql を省略すると、SQL のダンプはコンソールへ出力されますが、 ファイルへ出力されることはありません。

CakeSchema のコールバック

スキーマの生成後、アプリケーションを動作させるためテーブルにデータを挿入したいと 考えるかもしれません。データも CakeSchema のコールバックで保存させることができます。 全てのスキーマファイルは before($event = array()) メソッドと after($event = array()) メソッドが生成されます。

$event パラメータは2つのキーを持つ配列です。1つはテーブルを削除するのか 作成するのかを示すパラメータで、もう1つはエラーに関するパラメータです。例を示します。

array('drop' => 'posts', 'errors' => null)
array('create' => 'posts', 'errors' => null)

データを posts テーブルへ加える例は以下のようになります。

App::uses('Post', 'Model');
public function after($event = array()) {
    if (isset($event['create'])) {
        switch ($event['create']) {
            case 'posts':
                App::uses('ClassRegistry', 'Utility');
                $post = ClassRegistry::init('Post');
                $post->create();
                $post->save(
                    array('Post' =>
                        array('title' => 'CakePHP Schema Files')
                    )
                );
                break;
        }
    }
}

ここでコールバック before() および after() は、 スキーマからテーブルが作成されるか削除されるたびに実行されます。

データを2つ以上のテーブルへ挿入する場合は、各テーブルの作成後、 データベースのキャッシュを実際にデータベースへ反映させる必要があるでしょう。 before アクション内で $db->cacheSources = false を設定することにより、 キャッシュを無効にできます。

public $connection = 'default';

public function before($event = array()) {
    $db = ConnectionManager::getDataSource($this->connection);
    $db->cacheSources = false;
    return true;
}

コールバック中に正しいデータソースで初期化したモデルを使用したい場合、 デフォルトのデータソースを使わないようにします。

public function before($event = array()) {
    $articles = ClassRegistry::init('Articles', array(
        'ds' => $this->connection
    ));
    // Do things with articles.
}

CakePHP スキーマを手書きする

CakeSchema クラスは、全てのデータベーススキーマの基本クラスです。それぞれの スキーマクラスはテーブルのセットを生成することができます。 lib/Cake/Console/Command ディレクトリの中のスキーマシェルコンソールクラス SchemaShell は、コマンドラインを解釈し、基本スキーマクラスは、データベースからの 読み込みやデータベーステーブルの生成ができます。

CakeSchema は、プラグインへのスキーマファイルを配置・読み込み・書き込みができます。 SchemaShell もまた、その機能を持っています。

CakeSchema はまた、 tableParameters をサポートします。 テーブルパラメータは、照合順序、キャラセット、コメント文、エンジンタイプのような、 カラム以外のテーブル情報です。それぞれの Dbo は、サポートする tableParameters を実装します。

以下は acl クラスの例全部です。

/**
 * ACO - Access Control Object - Something that is wanted
 */
    public $acos = array(
        'id' => array(
            'type' => 'integer',
            'null' => false,
            'default' => null,
            'length' => 10,
            'key' => 'primary'
        ),
        'parent_id' => array(
            'type' => 'integer',
            'null' => true,
            'default' => null,
            'length' => 10
        ),
        'model' => array('type' => 'string', 'null' => true),
        'foreign_key' => array(
            'type' => 'integer',
            'null' => true,
            'default' => null,
            'length' => 10
        ),
        'alias' => array('type' => 'string', 'null' => true),
        'lft' => array(
            'type' => 'integer',
            'null' => true,
            'default' => null,
            'length' => 10
        ),
        'rght' => array(
            'type' => 'integer',
            'null' => true,
            'default' => null,
            'length' => 10
        ),
        'indexes' => array('PRIMARY' => array('column' => 'id', 'unique' => 1))
    );

カラム

それぞれのカラムは、キーバリュー連想配列として表現されます。 フィールド名は、フィールドのキーです。値は、いくつかの属性を持つ別の配列です。

カラムの例

'id' => array(
    'type' => 'integer',
    'null' => false,
    'default' => null,
    'length' => 10,
    'key' => 'primary'
 ),
key

primary キーは、主キーインデックスを定義します。

null

フィールドが null を許可するかどうか。

default

フィールドのデフォルト値。

limit

フィールドの型の限界。

length

フィールドの長さ。

type

以下の型の一つ

  • integer

  • smallinteger

  • tinyinteger

  • biginteger

  • date

  • time

  • datetime

  • timestamp

  • boolean

  • float

  • string

  • text

  • binary

バージョン 2.10.0 で変更: smallinteger 型と tinyinteger 型は 2.10.0 で追加されました。

テーブルキー indexes

キー名 indexes は、フィールド名の代わりにテーブル配列の中に置きます。

column

これは単一のカラム名またはカラムの配列です。

単一の場合

'indexes' => array(
    'PRIMARY' => array(
        'column' => 'id',
        'unique' => 1
    )
)

複数の場合

'indexes' => array(
    'AB_KEY' => array(
        'column' => array(
            'a_id',
            'b_id'
        ),
        'unique' => 1
    )
)
unique

ユニークインデックスなら 1、そうでなければ 0。

テーブルキー tableParameters

tableParameters は、 MySQL のみサポートします。

tableParameters を使って、いろいろな MySQL 特有の設定をセットすることができます。

  • engine は、テーブルで使用するストレージエンジンを制御します。

  • charset は、テーブルで使用するキャラクターセットを制御します。

  • encoding は、テーブルで使用する文字コードを制御します。

MySQL の dbo は、 tableParameters に加えて fieldParameters を実装します。 fieldParameters は、 MySQL 特有の設定をカラムごとに制御することができます。

  • charset は、カラムで使用するキャラクターセットを設定します。

  • encoding は、カラムで使用する文字コードを設定します。

スキーマファイルの中でテーブルやフィールドのパラメータを使用する方法は、 下記の例をご覧ください。

スキーマファイルの中で tableParameters を使う

スキーマファイル中の他のキーと同じように tableParameters が使えます。 例えば indexes のように

var $comments => array(
    'id' => array(
        'type' => 'integer',
        'null' => false,
        'default' => 0,
        'key' => 'primary'
    ),
    'post_id' => array('type' => 'integer', 'null' => false, 'default' => 0),
    'comment' => array('type' => 'text'),
    'indexes' => array(
        'PRIMARY' => array('column' => 'id', 'unique' => true),
        'post_id' => array('column' => 'post_id'),
    ),
    'tableParameters' => array(
        'engine' => 'InnoDB',
        'charset' => 'latin1',
        'collate' => 'latin1_general_ci'
    )
);

いくつかのデータベース特有の設定をセットするために tableParameters を 使用しているテーブルの例です。もしデータベースが実装していないオプションや 機能を含むスキーマファイルを使用した時、オプションは無視されます。

CakePHP のスキーマシェルを使ったマイグレーション

マイグレーションで、スキーマのバージョン管理ができるようになります。 その結果、新機能を開発したとき、データベースに依存することなく簡単に 変更内容を配布できるようになります。マイグレーションはバージョン管理された スキーマファイルかスキーマのスナップショットのどちらかの形式で管理されます。 スキーマシェルを使ったスキーマファイルのバージョン管理はとても簡単です。 もし既に作成済みのスキーマファイルがあるのであれば、次のコマンドを実行してください。

$ Console/cake schema generate

実行すると、次の選択肢が表示されるはずです。

Generating Schema...
Schema file exists.
 [O]verwrite
 [S]napshot
 [Q]uit
Would you like to do? (o/s/q)

[s] (snapshot) を選択すると、変更分を反映した schema.php が生成されるでしょう。 もし schema.php があれば、schema_2.php あるいは同様のファイルが生成されるはずです。 いつでも以下のコマンドでスキーマファイルへの保存ができます。

$ cake schema update -s 2

ここで 2 は更新元のスナップショット番号を示します。 スキーマシェルは、現状のデータベースと更新元スキーマファイルの差分を表した ALTER 文を実行してもよいかどうか確認を促してくるでしょう。

--dry コマンドを付けることで、実際にファイルを更新することなく実行結果だけを 確認することもできます(dry-run)。

注釈

2.x のスキーマ生成は外部キー制約を処理しないことに注意してください。

ワークフローの例

スキーマの生成とコミット

バージョン管理を適用しているプロジェクトでは、cake schema を以下のように使うことになるでしょう。

  1. データベース内のテーブルを生成あるいは変更

  2. cake schema を実行し、データベースの内容を全てエクスポート

  3. 生成または更新された schema.php のコミット

    $ # 一度データベースを更新した後で
    $ Console/cake schema generate
    $ git commit -a
    

注釈

プロジェクトでバージョン管理システムを使用していない場合は、 スキーマの管理はスナップショットを使用して行うことになるはずです。 (スナップショットの作成は前のセクションを参照してください)

最新の変更を取り入れるには

(テーブルが見つからないというエラーメッセージが表示された場合など) リポジトリの最新の変更を取り入れ、データベース構造の変更点を見つけるには 以下のようにします。

  1. cake schema を実行し、データベースを更新してください

    $ git pull
    $ Console/cake schema create
    $ Console/cake schema update
    

いずれの操作でも --dry オプションで dry-run が使用できます。

ロールバック

現在のところ、cake schema はデータベースの更新の取り消しや復元が必要な操作をサポートしていません。

より具体的には、一度生成したテーブルを自動的に削除することができないようになっています。

対照的に update を使用した場合は、スキーマファイルとの差分からフィールドが削除されます。

$ git revert HEAD
$ Console/cake schema update

上のコマンドを実行すると、以下の選択肢が表示されるはずです。

The following statements will run.
ALTER TABLE `roles`
DROP `position`;
Are you sure you want to alter the tables? (y/n)
[n] >