データベースの初期データ投入

バージョン0.5.0 では、Phinx はデータベースにテストデータをシードするためのサポートを導入しました。 シードクラスは、作成済みのデータをデータベースに簡単に投入するための優れた方法です。 デフォルトでは seeds ディレクトリーに保存されます。 ただし、このパスは設定ファイルで変更できます。

注釈

データベースのシードは完全にオプションで、 Phinx はデフォルトで seeds ディレクトリーを作成しません。

シードクラスの新規作成

Phinx には、新しいシードクラスを簡単に生成するコマンドが含まれています。

$ php vendor/bin/phinx seed:create UserSeeder

複数のシードのパスを指定した場合は、新しいシードクラスを作成するパスを選択するように求められます。

以下は、スケルトンテンプレートを元にしています。

<?php

use Phinx\Seed\AbstractSeed;

class MyNewSeeder extends AbstractSeed
{
    /**
     * Run Method.
     *
     * Write your database seeder using this method.
     *
     * More information on writing seeders is available here:
     * http://docs.phinx.org/en/latest/seeding.html
     */
    public function run()
    {

    }
}

AbstractSeed クラス

すべての Phinx のシードは AbstractSeed クラスを継承します。 このクラスは、シードクラスを作成するために必要なサポートを提供します。 シードクラスは主にテストデータの挿入に使用されます。

run メソッド

run メソッドは、 seed:run コマンドを実行すると、Phinx によって自動的に呼び出されます。 このメソッドを使用してテストデータを挿入してください。

注釈

マイグレーションとは異なり、Phinx はどのシードクラスが実行されたかを把握していません。 これは、データベースシーダーを繰り返し実行できることを意味します。 開発時にはこのことに留意してください。

データの挿入

Table オブジェクトの使用

シードクラスは、使い慣れた Table オブジェクトを使ってデータを挿入することもできます。 シードクラス内から table() メソッドを呼び出し、 insert() メソッドを使用して データを挿入することで、Table オブジェクトのインスタンスを取得できます。

<?php
use Phinx\Seed\AbstractSeed;

class PostsSeeder extends AbstractSeed
{
    public function run()
    {
        $data = [
            [
                'body'    => 'foo',
                'created' => date('Y-m-d H:i:s'),
            ],
            [
                'body'    => 'bar',
                'created' => date('Y-m-d H:i:s'),
            ]
        ];

        $posts = $this->table('posts');
        $posts->insert($data)
              ->save();
    }
}

注釈

save() メソッドを呼び出して、データをテーブルにコミットする必要があります。 Phinx はデータをバッファリングします。

Faker ライブラリーとの統合

シードクラスですばらしい Faker ライブラリー を使うのは簡単です。Composer を使用してインストールするだけです。

$ composer require fzaninotto/faker

そして、シードクラスの中で、それを使用してください。

<?php

use Phinx\Seed\AbstractSeed;

class UserSeeder extends AbstractSeed
{
    public function run()
    {
        $faker = Faker\Factory::create();
        $data = [];
        for ($i = 0; $i < 100; $i++) {
            $data[] = [
                'username'      => $faker->userName,
                'password'      => sha1($faker->password),
                'password_salt' => sha1('foo'),
                'email'         => $faker->email,
                'first_name'    => $faker->firstName,
                'last_name'     => $faker->lastName,
                'created'       => date('Y-m-d H:i:s'),
            ];
        }

        $this->insert('users', $data);
    }
}

テーブルのデータ消去

データを挿入することに加えて、Phinx は SQL の TRUNCATE コマンドを使って テーブルを空にすることを容易にします。

<?php

use Phinx\Seed\AbstractSeed;

class UserSeeder extends AbstractSeed
{
    public function run()
    {
        $data = [
            [
                'body'    => 'foo',
                'created' => date('Y-m-d H:i:s'),
            ],
            [
                'body'    => 'bar',
                'created' => date('Y-m-d H:i:s'),
            ]
        ];

        $posts = $this->table('posts');
        $posts->insert($data)
              ->save();

        // テーブルを空にします
        $posts->truncate();
    }
}

注釈

SQLite は TRUNCATE コマンドをネイティブにサポートしていないので、 DELETE FROM が使用されています。テーブルのデータ消去後、 VACUUM コマンドを呼び出すことをお勧めします。 Phinx はこれを自動的には行いません。

シードクラスの実行

これは簡単な部分です。データベースをシードするには、 seed:run コマンドを使います。

$ php vendor/bin/phinx seed:run

デフォルトでは、Phinx は利用可能なすべてのシードクラスを実行します。 特定のクラスを実行したい場合は、 -s パラメーターを使ってそのクラスの名前を渡します。

$ php vendor/bin/phinx seed:run -s UserSeeder

複数のシーダーを実行することもできます。

$ php vendor/bin/phinx seed:run -s UserSeeder -s PermissionSeeder -s LogSeeder

-v パラメーターを使用して、より詳細な出力を表示することもできます。

$ php vendor/bin/phinx seed:run -v

Phinx のシード機能は、テストデータをデータベースに簡単かつ繰り返し挿入するための 簡単なメカニズムを提供します。