スキーマシステム

CakePHP は、SQL データストア内のテーブルのスキーマ情報を反映し、 生成することができるスキーマシステムを備えています。 スキーマシステムは、CakePHP がサポートする全ての SQL プラットフォーム用のスキーマを生成・反映することができます。

スキーマシステムの主要部分は Cake\Database\Schema\CollectionCake\Database\Schema\TableSchema です。これらのクラスを使用すると、 それぞれデータベース全体と個々の Table オブジェクトの機能にアクセスできます。

スキーマシステムの主な用途は、フィクスチャー のためのものです。 しかしながら、必要な場合は、アプリケーションでそれを使用することができます。

Schema\TableSchema オブジェクト

class Cake\Database\Schema\TableSchema

スキーマ・サブシステムは、データベース内のテーブルに関するデータを保持するための簡単な Table オブジェクトを提供します。このオブジェクトは、スキーマのリフレクション機能によって返されます。

use Cake\Database\Schema\TableSchema;

// 一度にテーブルの1カラムを作成
$schema = new TableSchema('posts');
$schema->addColumn('id', [
  'type' => 'integer',
  'length' => 11,
  'null' => false,
  'default' => null,
])->addColumn('title', [
  'type' => 'string',
  'length' => 255,
  // 固定長 (char フィールド) の作成
  'fixed' => true
])->addConstraint('primary', [
  'type' => 'primary',
  'columns' => ['id']
]);

// Schema\TableSchema は、配列データを使用して作成できます
$schema = new TableSchema('posts', $columns);

Schema\TableSchema オブジェクトを使用すると、テーブルのスキーマに関する情報を構築することを可能にします。 それは、テーブルを記述するために使用されるデータを正規化し、検証するのに役立ちます。 たとえば、次の2つの形式は等価です。

$schema->addColumn('title', 'string');
// そして
$schema->addColumn('title', [
  'type' => 'string'
]);

等価ではありますが、2番目の形式は、より詳細かつ制御することができます。 これは、2.x の Schema ファイルとフィクスチャースキーマで使用可能な既存の機能をエミュレートします。

カラムデータへのアクセス

カラムは、コンストラクターの引数として、または addColumn() を経由して追加されます。 情報が追加された一つのフィールドは、 column() または columns() を使用して取得できます。

// カラムに関するデータの配列を取得
$c = $schema->column('title');

// 全てのカラムの一覧を取得
$cols = $schema->columns();

インデックスと制約

インデックスは addIndex() メソッドを使用して追加されます。 制約は addConstraint() を使用して追加されます。 無効な状態になるため、存在しない列に対してはインデックスや制約を追加できません。 インデックスは制約とは異なり、メソッド間で型を混合しようとすると例外が発生します。 両方のメソッドの例です。

$schema = new TableSchema('posts');
$schema->addColumn('id', 'integer')
  ->addColumn('author_id', 'integer')
  ->addColumn('title', 'string')
  ->addColumn('slug', 'string');

// 主キーの追加
$schema->addConstraint('primary', [
  'type' => 'primary',
  'columns' => ['id']
]);
// ユニークキーの追加
$schema->addConstraint('slug_idx', [
  'columns' => ['slug'],
  'type' => 'unique',
]);
// インデックスの追加
$schema->addIndex('slug_title', [
  'columns' => ['slug', 'title'],
  'type' => 'index'
]);
// 外部キーの追加
$schema->addConstraint('author_id_idx', [
  'columns' => ['author_id'],
  'type' => 'foreign',
  'references' => ['authors', 'id'],
  'update' => 'cascade',
  'delete' => 'cascade'
]);

単一の整数カラムに主キー制約を追加する場合、自動的にデータベースのプラットフォームに応じて auto-increment/serial カラムに変換されます。

$schema = new TableSchema('posts');
$schema->addColumn('id', 'integer')
->addConstraint('primary', [
    'type' => 'primary',
    'columns' => ['id']
]);

上記の例では、 id カラムは、MySQL の次のような SQL を生成します。

CREATE TABLE `posts` (
    `id` INTEGER AUTO_INCREMENT,
    PRIMARY KEY (`id`)
)

主キーに複数のカラムが含まれている場合、どのカラムも自動的には自動インクリメント値に変換されません。 代わりに、複合キーのどのカラムを自動インクリメントしたいのかをテーブルオブジェクトに伝える必要があります。

$schema = new TableSchema('posts');
$schema->addColumn('id', [
    'type' => 'integer',
    'autoIncrement' => true,
])
->addColumn('account_id', 'integer')
->addConstraint('primary', [
    'type' => 'primary',
    'columns' => ['id', 'account_id']
]);

autoIncrement オプションは、 integerbiginteger カラムで動作します。

インデックスと制約の読み込み

インデックスと制約は、アクセサーメソッドを使用して、テーブルオブジェクトから読み取ることができます。 $schema が作成された TableSchema インスタンスであると仮定すると、以下を行うことができます。

// 制約の取得
// 全ての制約の名前を返します。
$constraints = $schema->constraints()

// 単一の制約に関するデータを取得
$constraint = $schema->constraint('author_id_idx')

// インデックスの取得
// 全てのインデックス名を返します。
$indexes = $schema->indexes()

// 単一のインデックスに関するデータを取得
$index = $schema->index('author_id_idx')

テーブルオプションの追加

一部のドライバー(主に MySQL)は、追加のテーブルのメタデータをサポートし、必要とします。 MySQL の場合には CHARSETCOLLATEENGINE プロパティーは、 MySQL でテーブルの構造を維持するために必要とされます。 テーブルオプションを追加するために、以下を使用することができます。

$schema->options([
  'engine' => 'InnoDB',
  'collate' => 'utf8_unicode_ci',
]);

プラットフォームの方言は、関係するキーだけを処理し、残りは無視します。 すべてのオプションは、すべてのプラットフォームでサポートされるわけではありません。

Table を SQL に変換

createSql()dropSql() を使用すると、 特定のテーブルを作成または削除するためのプラットフォーム固有の SQL を取得することができます。

$db = ConnectionManager::get('default');
$schema = new TableSchema('posts', $fields, $indexes);

// テーブルの作成
$queries = $schema->createSql($db);
foreach ($queries as $sql) {
  $db->execute($sql);
}

// テーブルの削除
$sql = $schema->dropSql($db);
$db->execute($sql);

接続のドライバーを使用することにより、スキーマデータをプラットフォーム固有の SQL に変換することができます。 createSqldropSql の戻り値は、テーブルと必要なインデックスを作成するために必要な SQL クエリーのリストです。いくつかのプラットフォームでは、コメントやインデックスのあるテーブルを 作成するために複数のステートメントが必要な場合があります。クエリーの配列は常に返されます。

スキーマコレクション

class Cake\Database\Schema\Collection

Collection は、接続中に利用可能なさまざまなテーブルへのアクセスを提供します。 これを使用すると、テーブルのリストを取得したり、テーブルを TableSchema オブジェクトに反映させることができます。クラスの基本的な使い方は次のようになります。

$db = ConnectionManager::get('default');

// スキーマコレクションの作成
// Prior to 3.4 use $db->schemaCollection()
$collection = $db->getSchemaCollection();

// テーブル名の取得
$tables = $collection->listTables();

// 単一テーブル (Schema\TableSchema インスタンス) の取得
$tableSchema = $collection->describe('posts');