ヘルパー

ヘルパーはアプリケーションのプレゼンテーション層のためのコンポーネントのようなクラスです。 多くのビューやエレメント、レイアウトで共有される表示ロジックを含んでいます。 この章ではヘルパーの作り方と CakePHP のコアヘルパーでできる基本的なタスクの概要を説明します。

CakePHP にはビューの作成に役立ついくつかの特徴的なヘルパーがあります。それらは、 整形式のマークアップ(フォーム含む)、テキスト、時間、数値の整形に役立ったり、 Ajax 機能をスピードアップさせたりします。CakePHP のヘルパーに関するさらなる情報は、 各ヘルパーの章をご覧ください。

ヘルパーの設定と使用

CakePHP でヘルパーを有効にするにはコントローラに認識させる必要があります。各コントローラは $helpers プロパティを持っており、そのプロパティにはビューで 利用できるヘルパーの一覧が保持されています。ビューでヘルパーを使用するにはヘルパーの名前を コントローラの $helpers 配列に追加して下さい。

class BakeriesController extends AppController {
    public $helpers = array('Form', 'Html', 'Js', 'Time');
}

プラグインからヘルパーを追加するには CakePHP の様々な場所で使われている プラグイン記法 を使います。:

class BakeriesController extends AppController {
    public $helpers = array('Blog.Comment');
}

あるアクションの間だけヘルパーを追加することができます。言い換えると、あるヘルパーの利用を 特定のコントローラアクションに限定し、同じコントローラの他のアクションでは利用できないように することができます。このことはコントローラが整理された状態を維持するのに役立つだけでなく、 さらに、ヘルパーを使わない他のアクションの処理コストを抑えることになります。

class BakeriesController extends AppController {
    public function bake() {
        $this->helpers[] = 'Time';
    }
    public function mix() {
        // ここに Time ヘルパーは読み込まれないので利用出来ません
    }
}

もしすべてのコントローラでヘルパーを有効にする必要がある場合ヘルパーの名前を /app/Controller/AppController.php (見つからない場合は作成して下さい) の $helpers 配列に追加して下さい。デフォルトの Html ヘルパーと Form ヘルパーも 忘れずに読み込んで下さい。

class AppController extends Controller {
    public $helpers = array('Form', 'Html', 'Js', 'Time');
}

ヘルパーにはオプションを渡すことが出来ます。このオプションは属性の値を設定したり、 ヘルパーの動作を変えるために使うことができます。

class AwesomeHelper extends AppHelper {
    public function __construct(View $view, $settings = array()) {
        parent::__construct($view, $settings);
        debug($settings);
    }
}

class AwesomeController extends AppController {
    public $helpers = array('Awesome' => array('option1' => 'value1'));
}

2.3 から、オプションはヘルパーの Helper::$settings プロパティにマージされます。

すべてのヘルパーで共通して使える設定に className オプションがあります。 このオプションを設定するとビューの中に別名のヘルパーを作ることができます。この機能は $this->Html や他の共通ヘルパーの参照を独自の実装に置き換えたい時に役立ちます。

// app/Controller/PostsController.php
class PostsController extends AppController {
    public $helpers = array(
        'Html' => array(
            'className' => 'MyHtml'
        )
    );
}

// app/View/Helper/MyHtmlHelper.php
App::uses('HtmlHelper', 'View/Helper');
class MyHtmlHelper extends HtmlHelper {
    // コアHtmlHelperを上書きするためのコードを追加して下さい
}

上記の例ではビューの中で MyHtmlHelper$this->Html別名 になっています。

注釈

別名が付けられたヘルパーはどこで使われていたとしてもそのインスタンスを置き換えます。 それには他のヘルパーの内部も含まれます。

ヘルパーを設定することで宣言的にヘルパーを設定することができるようになり、また、 コントローラアクションの外に設定のロジックを置けるようになります。もし、 クラス宣言の一部に含めることができない設定項目がある場合、コントローラの beforeRender コールバックの中でそれらを設定することが出来ます。:

class PostsController extends AppController {
    public function beforeRender() {
        parent::beforeRender();
        $this->helpers['CustomStuff'] = $this->_getCustomStuffSettings();
    }
}

ヘルパーを使う

コントローラの中でどのヘルパーが使いたいのかを一度設定してしまえば、各ヘルパーは ビューの中でパブリックプロパティのように扱えます。例えば HtmlHelper を 使っているとします。その場合、次のようにヘルパーにアクセスできます。

echo $this->Html->css('styles');

上記の例では HtmlHelper の css メソッドを呼び出しています。読み込み済みの ヘルパーであれば $this->{$helperName} の形式でアクセスすることが出来ます。 ビューの内部から動的にヘルパーを読み込む必要に迫られる時が来るかもしません。 その時は、 ビューの HelperCollection を使ってこのようにできます。

$mediaHelper = $this->Helpers->load('Media', $mediaSettings);

HelperCollection は コレクション であり、 CakePHP の他の箇所でも使われているコレクション API をサポートしています。

コールバックメソッド

ヘルパーはビューの描画工程を増やすようないくつかのコールバックを特徴としています。 さらに情報が欲しい場合は、 ヘルパー APIコレクション ドキュメントを参照して下さい。

ヘルパーを作る

もし、コアヘルパー (または GitHub や Bakery にあるヘルパー) でやりたいことが できなかったとしても、ヘルパーを作るのは簡単なので大丈夫です。

ここで、アプリケーション内の様々な場所で必要とされる CSS スタイルのリンクを出力する ヘルパーを作りたかったとしましょう。CakePHP の既存のヘルパーの構造にロジックを あわせる為には、 /app/View/Helper に新しいクラスを作成する必要があります。 これから作るヘルパーを LinkHelper と呼ぶことにしましょう。実際の PHP クラスファイルは このようになるでしょう。

/* /app/View/Helper/LinkHelper.php */
App::uses('AppHelper', 'View/Helper');

class LinkHelper extends AppHelper {
    public function makeEdit($title, $url) {
        // 特別に整形されたリンクを作るためのロジックはここ...
    }
}

注釈

ヘルパーは AppHelper または Helper を継承するか ヘルパー API で定義されているすべてのコールバックを実装しなければなりません。

他のヘルパーを読み込む

他のヘルパーに既に存在している機能を使いたいと思うかもしれません。その場合、 $helpers 配列に使いたいヘルパーを明示することで実現出来ます。フォーマットは、コントローラで 指定する場合と同じようにして下さい。

/* /app/View/Helper/LinkHelper.php (他のヘルパーを使っている) */
App::uses('AppHelper', 'View/Helper');

class LinkHelper extends AppHelper {
    public $helpers = array('Html');

    public function makeEdit($title, $url) {
        // 整形されたデータを出力するために
        // HTML ヘルパーを使う:

        $link = $this->Html->link($title, $url, array('class' => 'edit'));

        return '<div class="editOuter">' . $link . '</div>';
    }
}

自作のヘルパーを使う

一旦ヘルパーを作って /app/View/Helper/ に配置すると、コントローラで $helpers という特別な変数を使うことでそのヘルパーを 読み込めるようになります。

class PostsController extends AppController {
    public $helpers = array('Link');
}

一旦コントローラがこの新しいクラスを認識すると、ヘルパーの名前にちなんで 名付けられたオブジェクトにアクセスすることで、ビューの中からこのヘルパーを 使えるようになります。

<!-- 新しいヘルパーを使ってリンクを作る -->
<?php echo $this->Link->makeEdit('Change this Recipe', '/recipes/edit/5'); ?>

すべてのヘルパーのための機能を作成する

すべてのヘルパーは特別なクラス AppHelper を (モデルが AppModel を継承し、コントローラが AppController を継承するのと同じように)継承します。すべてのヘルパーで利用できる機能を 作成するためには、 /app/View/Helper/AppHelper.php を作成して下さい。

App::uses('Helper', 'View');

class AppHelper extends Helper {
    public function customMethod() {
    }
}

ヘルパー API

class Helper

ヘルパーの基底クラスです。いくつかのユーティリティメソッドと他のヘルパーを 読み込む機能を提供しています。

Helper::webroot($file)

ファイル名をアプリケーションの webroot で解決します。テーマがアクティブで 現在のテーマの webroot にファイルが存在しているとき、テーマのファイルへのパスが返ります。

Helper::url($url, $full = false)

HTML がエスケープされた URL を生成し、 Router::url() に委譲します。

Helper::value($options = array(), $field = null, $key = 'value')

与えられた input 名に対応する値を取得します。

Helper::domId($options = null, $id = 'id')

現在選択されているフィールドに対応するキャメルケースのid値を生成します。 AppHelper にてこのメソッドを上書きすることで CakePHP が ID 属性を生成する方法を 変更することができます。

コールバック

Helper::beforeRenderFile($viewFile)

各ビューファイルが描画される前に呼び出されます。これにはエレメント、 ビュー、親ビュー、レイアウトを含みます。

Helper::afterRenderFile($viewFile, $content)

各ビューファイルが描画された後に呼び出されます。これにはエレメント、ビュー、親ビュー、 レイアウトを含みます。コールバックは描画されたコンテンツがブラウザにどのように 描画されるかを変えるために $content を変更して返すことができます。

Helper::beforeRender($viewFile)

beforeRender メソッドはコントローラの beforeRender メソッドの後に呼び出されます。 しかし、コントローラがビューとレイアウトを描画する前です。描画されるファイルを 引数として受け取ります。

Helper::afterRender($viewFile)

ビューが描画された後に呼び出されます。しかし、レイアウトの描画開始前です。

Helper::beforeLayout($layoutFile)

レイアウトの描画開始前に呼び出されます。レイアウトファイル名を引数として受け取ります。

Helper::afterLayout($layoutFile)

レイアウトの描画が完了した時に呼び出されます。レイアウトファイル名を引数として受け取ります。