CakePHP 2.0 では新しくリクエストとレスポンスのオブジェクトが追加されました。
以前のバージョンではこれらのオブジェクトは配列で表現されており、
また関連するメソッドは RequestHandlerComponent
, Router
,
Dispatcher
, Controller
に分散していました。そのため、
リクエストにどのような情報が含まれているかを正確に表すオブジェクトは存在しませんでした。
バージョン 2.0 において CakeRequest
と CakeResponse
は
上記の目的で使用されます。
CakeRequest
は CakePHP で使われるデフォルトのリクエストオブジェクトです。
リクエストデータへの応答と対話が中心的な機能となります。リクエストごとに CakeRequest
は一つ作られ、リクエストデータを使うアプリケーションの様々なレイヤーに参照が渡されます。
デフォルトの CakeRequest
は $this->request
に設定され、コントローラ、ビュー、
ヘルパーの中で利用できます。またコントローラの参照を使うことでコンポーネントの中からも
アクセスすることが出来ます。 CakeRequest
の役割は以下の通りです。
GET, POST, そして FILES 配列を慣れ親しんだデータ構造に変換する処理を行います。
リクエストに関連する内省的環境を提供します。送信されたヘッダやクライアントの IP アドレス、 サーバが実行されているサブドメイン/ドメインの情報などが含まれます。
リクエストパラメータへのアクセス方法をインデックス付き配列とオブジェクトのプロパティの 両方の形式で提供します。
CakeRequest
はリクエストパラメータにアクセスするためにいくつかのインターフェイスを
提供しています。一つ目の方法は、添字付き配列です。二つ目の方法は $this->request->params
を経由する方法です。三つ目はオブジェクトのプロパティとしてアクセスする方法です。
$this->request->controller;
$this->request['controller'];
$this->request->params['controller'];
上記はすべて同じ値にアクセスします。パラメータへアクセスする方法が複数あることで 既存のアプリケーションの移植が楽になるかもしれません。 すべての ルーティングのための要素 はこのインターフェイスを通してアクセスされます。
ルーティングのための要素 に加えて 渡された引数 や 名前付きパラメーター へのアクセスがしばしば必要になります。これらは両方ともリクエストオブジェクトと同様に利用可能です。
// 渡された引数
$this->request->pass;
$this->request['pass'];
$this->request->params['pass'];
// 名前付きパラメータ
$this->request->named;
$this->request['named'];
$this->request->params['named'];
すべての渡された引数と名前付きパラメータにアクセスする方法が提供されています。この中には CakePHP の内部で使っている重要で役に立つパラメータが存在し、また、リクエストパラメータの中で すべて見つけられます。
plugin
リクエストを処理するプラグインです。プラグインが存在しない場合は null です。
controller
現在のリクエストを処理するコントローラです。
action
現在のリクエストを処理するアクションです。
prefix
現在のアクションのプレフィックスです。詳しくは、 プレフィックスルーティング をご覧ください。
bare
リクエストが requestAction()
から始まり
bare オプションを含んでいたとき定義されます。生のリクエストは描画されたレイアウトを持ちません。
requested
アクションが requestAction()
から始まったとき定義され
true が設定されます。
クエリ文字列パラメータは CakeRequest::$query
を使って読み出すことができます。
// url は /posts/index?page=1&sort=title
$this->request->query['page'];
// 配列を経由してアクセスできます
// Note: 後方互換アクセッサです。将来のバージョンで非推奨になります。
$this->request['url']['page'];
$query
プロパティに直接アクセスするか、エラーが発生しない方法で
URL クエリ配列を読むために CakeRequest::query()
を使うことができます。
キーが存在しない場合、 null
が返ります。
$foo = $this->request->query('value_that_does_not_exist');
// $foo === null
すべての POST データは CakeRequest::$data
を使ってアクセスされます。
フォームデータが data
接頭辞を含んでいる場合、接頭辞は取り除かれるでしょう。例えば:
// name 属性が 'data[Post][title]' だった入力は次のようにアクセスします。
$this->request->data['Post']['title'];
$data
プロパティに直接アクセスするか、エラーが発生しない方法で
data 配列を読むために CakeRequest::data()
を使うことができます。
キーが存在しない場合、 null
が返ります。
$foo = $this->request->data('Value.that.does.not.exist');
// $foo == null
バージョン 2.2 で追加.
REST サービスを構築しているとき PUT
と DELETE
リクエストのデータを受け付けることが
よくあります。2.2 において application/x-www-form-urlencoded
リクエストボディのデータは
PUT
と DELETE
リクエストでは自動的に構文解析され $this->data
に設定されます。
もし JSON や XML データを受け付けている場合、どうやってリクエストボディにアクセスすればいいのかに
ついては以下の説明を見て下さい。
REST を採用しているアプリケーションでは URL エンコードされていない
post 形式でデータを交換することがしばしばあります。 CakeRequest::input()
を使用すると、任意の形式の入力データを読み込むことができます。
デコード関数が提供されることでデシリアライズされたコンテンツを受け取ることができます。
// PUT/POST アクションで投稿されたデータを JSON 形式にエンコードで取得する
$data = $this->request->input('json_decode');
json_decode
の 'as array' パラメータや XML を DOMDocument オブジェクトに変換したい時のように、
デシリアライズメソッドの中には呼び出し時に追加パラメータが必要なものがあるので
CakeRequest::input()
は追加パラメータを渡せるようになっています。
// PUT/POST アクションで投稿されたデータを Xml エンコードで取得する
$data = $this->request->input('Xml::build', array('return' => 'domdocument'));
CakeRequest
はまたアプリケーションのパスについての役立つ情報を提供しています。
CakeRequest::$base
と CakeRequest::$webroot
は URL の生成や、
アプリケーションがサブディレクトリにいるのかどうかの決定に役立ちます。
さまざまなリクエストの状態を検出するために以前は RequestHandlerComponent
を
使う必要がありました。これらのメソッドは CakeRequest
に移動され後方互換を保ちつつ
新しいインターフェイスが提供されています。使い方は以下の通りです。
$this->request->is('post');
$this->request->isPost(); // 非推奨
どちらのメソッド呼び出しも同じ値を返します。 今のところ、RequestHandlerComponent
にて、
後方互換のためのメソッドが利用できますが、非推奨で 3.0.0 で削除されます。
また、新しい種類の検出器 (detector) を作成するために CakeRequest::addDetector()
を
使うことでリクエスト検出器を簡単に拡張することができます。4種類の異なる検出器を作成できます。
環境変数の比較 - 環境変数の比較、 env()
から取得された値と提供された値が
等しいかどうかを比較します。
パターン値の比較 - パターン値の比較では env()
から取得された値と正規表現を比較します。
オプションベースの比較 - オプションベースの比較では正規表現を作成するためにオプションのリストを使います。 既に定義済みのオプション検出器を追加するための呼び出しはオプションをマージするでしょう。
コールバック検出器 - コールバック検出器はチェックをハンドリングするために 'callback' タイプを提供します。 コールバックはパラメータとしてだけリクエストオブジェクトを受け取ります。
いくつかの例を示します。
// environment detector を追加する
$this->request->addDetector(
'post',
array('env' => 'REQUEST_METHOD', 'value' => 'POST')
);
// pattern value detector を追加する
$this->request->addDetector(
'iphone',
array('env' => 'HTTP_USER_AGENT', 'pattern' => '/iPhone/i')
);
// option detector を追加する
$this->request->addDetector('internalIp', array(
'env' => 'CLIENT_IP',
'options' => array('192.168.0.101', '192.168.0.100')
));
// callback detector を追加する。匿名関数か通常のコールバックが指定可能。
$this->request->addDetector(
'awesome',
array('callback' => function ($request) {
return isset($request->awesome);
})
);
CakeRequest
には CakeRequest::domain()
,
CakeRequest::subdomains()
や CakeRequest::host()
といった
サブドメインを扱うのに役立つメソッドがあるため、少し楽ができます。
利用可能な組み込みの検出器は以下の通りです。
is('get')
現在のリクエストが GET かどうかを調べます。
is('put')
現在のリクエストが PUT かどうかを調べます。
is('post')
現在のリクエストが POST かどうかを調べます。
is('delete')
現在のリクエストが DELETE かどうかを調べます。
is('head')
現在のリクエストが HEAD かどうかを調べます。
is('options')
現在のリクエストが OPTIONS かどうかを調べます。
is('ajax')
現在のリクエストが X-Requested-With = XMLHttpRequest に由来するものか
どうかを調べます。
is('ssl')
リクエストが SSL 経由かどうかを調べます。
is('flash')
リクエストに Flash の User-Agent があるかどうかを調べます。
is('mobile')
リクエストがモバイルエージェントの共通リストに由来しているかどうかを調べます。
CakeRequest
が提供している多くの機能は以前、 RequestHandlerComponent
の中にあったので、CakePHP 2.0 にどのように収まるのかを理解するために再考する必要がありました。
2.0 において RequestHandlerComponent
はパトロン (sugar daddy) として振るいます。
CakeRequest
が提供するユーティリティの最上位に砂糖のレイヤーを提供しています。
レイアウトの切り替えやコンテンツタイプや ajax を基にしたビューといった砂糖は
RequestHandlerComponent
の領域です。ユーティリティと砂糖のクラスを分離することで
欲しいもの、必要なものの取捨選択が簡単になるでしょう。
CakeRequest
はリクエストに関する様々なことを内省 (introspect) するために使えます。
また、検出器によって様々なプロパティやメソッドからの他の情報を発見できます。
$this->request->webroot
は webroot ディレクトリを含みます。
$this->request->base
は基本パスを含みます。
$this->request->here
は現在のリクエストへの完全なアドレスを含みます。
$this->request->query
はクエリ文字列パラメータを含みます。
CakeRequest はリクエストパラメータのハンドリングをカプセル化し、内省化します。
アプリケーションが実行されているドメイン名を返します。
アプリケーションが実行されているサブドメインを配列で返します。
アプリケーションのホスト名を返します。
リクエストの HTTP メソッドを返します。
許可された HTTP メソッドを設定します。もしマッチしなかった場合、
MethodNotAllowedException を投げます。405 レスポンスには、
通過できるメソッドを持つ Allow
ヘッダが含まれます。
バージョン 2.3 で追加.
バージョン 2.5 で非推奨: 代わりに CakeRequest::allowMethod()
を使用してください。
許可された HTTP メソッドを設定します。もしマッチしなかった場合、
MethodNotAllowedException を投げます。405 レスポンスには、
通過できるメソッドを持つ Allow
ヘッダが含まれます。
バージョン 2.5 で追加.
リクエストのリファラを返します。
現在アクセスしているクライアントの IP アドレスを返します。
リクエストで使われている HTTP_*
ヘッダにアクセスできます。
$this->request->header('User-Agent');
この例の場合、リクエストで使われているユーザエージェントが返るでしょう。
リクエストとデコード関数を通して渡された入力データを取得します。 リクエストの本文を XML や JSON でやり取りするときに便利です。 デコード関数の追加パラメータは input() の引数として渡す事ができます。
$this->request->input('json_decode');
リクエストデータへドット記法によるアクセスを提供します。 リクエストデータの読み込みと変更が可能です。また次のように連鎖的に呼び出す事をできます。
// リクエストデータを修正し、フォームフィールドを生成できます。
$this->request->data('Post.title', 'New post')
->data('Comment.1.author', 'Mark');
// データの取得もできます。
$value = $this->request->data('Post.title');
リクエストがある基準に適合するかどうかを調べます。 CakeRequest::addDetector()
で追加された追加のルールと同様に組み込みの検出ルールを使えます。
CakeRequest::is()
と一緒に使われる検出器を追加します。詳しくは、
リクエストを調べる を参照して下さい。
クライアントがどのコンテンツタイプを受付けるを調べます。また、 特定のコンテンツタイプが受付られるかどうかを調べます。
すべてのタイプを取得:
$this->request->accepts();
あるタイプについて確認:
$this->request->accepts('application/json');
クライアントが受付けるすべての言語を取得します。また、 特定の言語が受付られるかどうかを調べます。
受付ける言語のリストを取得:
CakeRequest::acceptLanguage();
特定の言語が受付られるかどうかの確認:
CakeRequest::acceptLanguage('es-es');
$request->params
の値を安全に読みます。パラメータの値を使う前に
isset()
や empty()
を呼ぶ必要がなくなります。
バージョン 2.4 で追加.
POST データの配列です。 CakeRequest::data()
を使うと
エラーが発生しないようにしつつプロパティを読み込むことができます。
クエリ文字列パラメータの配列です。
ルート要素とリクエストパラメータの配列です。
現在のリクエストの uri を返します。
アプリケーションへのベースパスです。アプリケーションがサブディレクトリに配置されていない限り、
普通は /
です。
現在の webroot てす。
CakeResponse
は CakePHP のデフォルトのレスポンスクラスです。
いくつかの機能と HTTP レスポンスの生成をカプセル化します。
また送信予定のヘッダを調べるためにモックやスタブとしてテストの手助けをします。
CakeRequest
のように CakeResponse
は Controller
や
RequestHandlerComponent
や Dispatcher
に以前からある
多くのメソッドを強化します。古いメソッドは非推奨になり CakeResponse
の使用が推奨されます。
CakeResponse
は次のような共通のレスポンスをラップするためのインターフェイスを提供します。
リダイレクトのヘッダの送信。
コンテンツタイプヘッダの送信。
任意のヘッダの送信。
レスポンスボディの送信。
CakePHP はデフォルトで CakeResponse
を使います。
CakeResponse
は柔軟かつ透過的なクラスです。
もし、このクラスをアプリケーション固有のクラスに置き換える必要がある場合、
app/webroot/index.php
の中で CakeResponse
を置き換えることができます。
これにより、アプリケーションのすべてのコントローラが CakeResponse
の代わりに
CustomResponse
を使うようになります。またコントローラの中で $this->response
を設定することでレスポンスインスタンスを置き換えることができます。
レスポンスオブジェクトのオーバーライドは header()
とやりとりするメソッドをスタブ化しやすくするので、テストで使いやすいです。
詳しくは CakeResponse とテスト を参照して下さい。
CakeResponse::type()
を使うことでアプリケーションレスポンスの
コンテンツタイプを制御することができます。もし CakeResponse
に組み込まれていない
コンテンツタイプを扱う必要がある場合、以下のように CakeResponse::type()
を使って
設定することができます。
// vCard タイプを追加
$this->response->type(array('vcf' => 'text/v-card'));
// レスポンスのコンテンツタイプを vcard に設定
$this->response->type('vcf');
大抵の場合、追加のコンテンツタイプはコントローラの beforeFilter()
コールバックの中で設定したいと思うので、
RequestHandlerComponent
が提供するビューの自動切り替え機能を活用できます。
リクエストに対するレスポンスとしてファイルを送りたいときがあります。
バージョン 2.3 より前は、 MediaView
を使うことができました。
2.3 以降から MediaView
は非推奨になり CakeResponse::file()
を使って
ファイルを送信します。
public function sendFile($id) {
$file = $this->Attachment->getFile($id);
this->response->file($file['path']);
// レスポンスオブジェクトを返すとコントローラがビューの描画を中止します
return $this->response;
}
上記の例のようにメソッドにファイルのパスを渡す必要があります。
CakePHP は、CakeResponse::$_mimeTypes
に登録された、よく知られるファイルタイプであれば
正しいコンテンツタイプヘッダを送ります。 CakeResponse::file()
を呼ぶ前に
CakeResponse::type()
メソッドを使って、新しいタイプを追加できます。
もし、あなたが望むなら、 オプションを明記することによって、ブラウザ上に表示する代わりに ファイルをダウンロードさせることができます。
$this->response->file(
$file['path'],
array('download' => true, 'name' => 'foo')
);
動的に生成された pdf や ics のようにディスクに存在しないファイルを返すことができます。
public function sendIcs() {
$icsString = $this->Calendar->generateIcs();
$this->response->body($icsString);
$this->response->type('ics');
// 任意のダウンロードファイル名を指定できます
$this->response->download('filename_for_download.ics');
// レスポンスオブジェクトを返すとコントローラがビューの描画を中止します
return $this->response;
}
ヘッダの設定は CakeResponse::header()
メソッドで行われます。
このメソッドは少し違ったパラメータ設定と一緒に呼ばれます。
// ヘッダを一つ設定する
$this->response->header('Location', 'http://example.com');
// 複数ヘッダを設定する
$this->response->header(array(
'Location' => 'http://example.com',
'X-Extra' => 'My header'
));
$this->response->header(array(
'WWW-Authenticate: Negotiate',
'Content-type: application/pdf'
));
同じ header()
を複数回設定すると、
普通の header 呼び出しと同じように、以前の値を上書きしていしまいます。
CakeResponse::header()
が呼び出されなければヘッダは送られません。
これらのヘッダはレスポンスが実際に送られるまでバッファリングされます。
バージョン 2.4 で追加.
CakeResponse::location()
を使うと直接 リダイレクトヘッダの設定や取得ができます。
時々、コントローラアクションの結果をキャッシュしないようにブラウザに強制する必要がでてきます。
CakeResponse::disableCache()
はそういった目的で使われます。
public function index() {
// 何か行う
$this->response->disableCache();
}
警告
Internet Explorer にファイルを送ろうとしている場合、SSL ドメインからのダウンロードと一緒に disableCache() を使うことをエラーにすることができます。
また、CakeResponse::cache()
を使ってクライアントにレスポンスを
キャッシュして欲しいことを伝えられます。
public function index() {
//do something
$this->response->cache('-1 minute', '+5 days');
}
上記の例では、訪問者の体感スピード向上のため、クライアントにレスポンス結果を5日間
キャッシュするように伝えています。 CakeResponse::cache()
は、
第一引数に Last-Modified
ヘッダの値を設定します。
第二引数に Expires
ヘッダと max-age
ディレクティブの値を設定します。
Cache-Control の public
ディレクティブも設定されます。
アプリケーションの速度を改善するための簡単で最善の方法の一つは HTTP キャッシュを使う事です。 このキャッシュモデルの元では、modified time, response entity tag などいくつかのヘッダを 設定することでレスポンスのキャッシュコピーを使うべきかどうかをクライアントが決定できるように 助ける事が求められます。
キャッシュやデータが変更されたときに無効化(更新)するロジックのコードを持つのではなく、 HTTP は二つのモデル、expiration と validation を使います。これらは大抵の場合、 自身でキャッシュを管理するよりかなり単純です。
CakeResponse::cache()
と独立して、HTTP キャッシュヘッダを
チューニングするための様々なメソッドが使えます。
この点に関して、ブラウザやリバースプロキシのキャッシュよりも有利だと言えます。
バージョン 2.1 で追加.
キャッシュ制御ヘッダは expiration モデルの元で使われ、複数の指示を含んでいます。 ブラウザやプロキシがどのようにキャッシュされたコンテンツを扱うのかをその指示で変更することができます。 Cache-Control ヘッダは以下の通りです。
Cache-Control: private, max-age=3600, must-revalidate
CakeResponse
のいくつかのユーティリティメソッドを用いることで、最終的に有効な
Cache-Control
ヘッダを生成します。 一つ目は、CakeResponse::sharable()
メソッドです。
このメソッドは異なるユーザやクライアントの間で共有出来ることを考慮されたレスポンスかどうかを示します。
このメソッドは実際には、このヘッダが public または private のどちらなのかを制御しています。
private としてレスポンスを設定することは、レスポンスのすべてまたはその一部が特定のユーザ用であることを示しています。
共有キャッシュのメリットを活かすためにはコントロールディレクティブを public に設定する必要があります。
このメソッドの二番目のパラメータはキャッシュの max-age を指定するために使われます。 このパラメータはレスポンスが古いと見なされる秒数を表しています。
public function view() {
...
// Cache-Control を 3600 秒の間、public として設定
$this->response->sharable(true, 3600);
}
public function my_data() {
...
// Cache-Control を 3600 秒の間、private として設定
$this->response->sharable(false, 3600);
}
CakeResponse
は Cache-Control
ヘッダの中で各コンポーネントを
設定するための分割されたメソッドを公開しています。
バージョン 2.1 で追加.
Expires
ヘッダに、レスポンスが古いと見なされる日時を設定できます。
このヘッダは CakeResponse::expires()
メソッドを使って設定されます。
public function view() {
$this->response->expires('+5 days');
}
またこのメソッドは、DateTime
インスタンスや DateTime
クラスによって構文解析可能な文字列を受け付けます。
バージョン 2.1 で追加.
HTTP におけるキャッシュの検証はコンテンツが定期的に変化するような場合によく使われ、 キャッシュが古いと見なせる場合にのみレスポンスコンテンツが生成されることをアプリケーションに求めます。 このモデルのもとでは、クライアントはページを直接使う代わりにキャッシュの中に保存し続け、 アプリケーションに毎回リソースが変更されたかどうかを尋ねます。 これは画像や他のアセットといった静的なリソースに対して使われる場合が多いです。
etab()
メソッド (entity tag と呼ばれる) は要求されたリソースを
識別するための一意な文字列です。大抵の場合はファイルのチェックサムのようなもので、
リソースが一致するかどうかを調べるためにキャッシュはチェックサムを比較するでしょう。
実際にこのヘッダを使うメリットを得るためには、手動で CakeResponse::checkNotModified()
メソッドを呼び出すかコントローラに RequestHandlerComponent
を読み込まなければなりません。
public function index() {
$articles = $this->Article->find('all');
$this->response->etag($this->Article->generateHash($articles));
if ($this->response->checkNotModified($this->request)) {
return $this->response;
}
...
}
バージョン 2.1 で追加.
HTTP キャッシュの検証モデルのもとでは、リソースが最後に変更された日時を示すために
Last-Modified
ヘッダを設定することができます。このヘッダを設定すると CakePHP が
キャッシュしているクライアントにレスポンスが変更されたのかどうかを返答する手助けとなります。
実際にこのヘッダを使うメリットを得るためには、 CakeResponse::checkNotModified()
メソッドを呼び出すかコントローラに RequestHandlerComponent
を読み込まなければなりません。
public function view() {
$article = $this->Article->find('first');
$this->response->modified($article['Article']['modified']);
if ($this->response->checkNotModified($this->request)) {
return $this->response;
}
...
}
時には同じ URL で異なるコンテンツを提供したいと思うかもしれません。
これは多国語対応ページがある場合やブラウザごとに異なる HTML を返すようなケースでしばしばおこります。
そのような状況では Vary
ヘッダを使えます。
$this->response->vary('User-Agent');
$this->response->vary('Accept-Encoding', 'User-Agent');
$this->response->vary('Accept-Language');
コントローラとコンポーネントのテストが簡単に実施できた時、
CakeResponse
を使っていて良かったと思うかもしれません。
いくつものオブジェクトを横断して使われるメソッドの代わりに、コントローラとコンポーネントが
CakeResponse
に委譲しているのをまねる(mock)オブジェクトを準備するだけでよくなります。
このことで'単体'テストを作りやすくなり、コントローラのテスト実施が簡単になります。
public function testSomething() {
$this->controller->response = $this->getMock('CakeResponse');
$this->controller->response->expects($this->once())->method('header');
// ...
}
さらに、CLI からヘッダ設定を試みた時に起こる「ヘッダ送信エラー」を避けるために モックを使うことができるので、コマンドラインからより簡単にテストを実行できます。
CakeResponse はクライアントへ送信するレスポンスと対話するために役立つメソッドを たくさん提供しています。
レスポンスと一緒に送られる一つまたは複数のヘッダを直接設定できます。
レスポンスと一緒に送られるリダイレクトヘッダを直接設定できます。
// Set the redirect location
$this->response->location('http://example.com');
// Get the current redirect location header
$location = $this->response->location();
バージョン 2.4 で追加.
レスポンスの中で使われる文字コードの種類を設定します。
レスポンスのコンテンツタイプを設定します。 既知のコンテンツタイプの別名かコンテンツタイプの正式名称を使えます。
レスポンスにキャッシュヘッダを設定することが出来ます。
レスポンスにクライアントのキャッシュを無効にするためのヘッダを設定します。
Cache-Control
ヘッダに public
か private
を設定し、
任意で、リソースの max-age
ディレクティブを設定します。
バージョン 2.1 で追加.
Expires
ヘッダに特定の日付を設定することができます。
バージョン 2.1 で追加.
レスポンスリソースを一意に識別するために Etag
ヘッダを設定します。
バージョン 2.1 で追加.
Last-Modified
ヘッダに特定の日時を正しいフォーマットで設定します。
バージョン 2.1 で追加.
リクエストオブジェクトとレスポンスのキャッシュヘッダを比較し、
まだキャッシュが有効かどうかを決定します。もしまだ有効な場合、
レスポンスのコンテンツは削除され 304 Not Modified
ヘッダが送られます。
バージョン 2.1 で追加.
レスポンスの gzip 圧縮を使用開始します。
添付ファイルとしてレスポンスを送り、ファイル名を設定できます。
レスポンスのステータスコードを設定できます。
レスポンスのコンテンツボディを設定します。
レスポンスの作成が完了した後に、 send()
を呼び出すことで
ボディと同様に設定されているすべてのヘッダが送られます。
各リクエストの最後に Dispatcher
によって自動的に行われます。
表示もしくはダウンロードするファイルの Content-Disposition
ヘッダを設定できます。
バージョン 2.3 で追加.