Phinx は多くのコマンドを使用して実行されます。
init コマンド (initialize の略) は、Phinx のプロジェクトを準備するために使用されます。
このコマンドはプロジェクトディレクトリーのルートに phinx.yml
ファイルを生成します。
$ cd yourapp
$ phinx init .
このファイルをテキストエディターで開き、プロジェクトの設定を行います。 詳しくは 設定 の章をご覧下さい。
create コマンドは、新しいマイグレーションファイルを作成するために使用されます。 1つの引数、つまりマイグレーション名が必要です。 マイグレーション名は、キャメルケース形式で指定する必要があります。
$ phinx create MyNewMigration
新しいマイグレーションファイルをテキストエディターで開き、データベースの変更を追加します。
Phinx は phinx.yml
ファイルで指定されたパスを使ってマイグレーションファイルを作成します。
詳しくは 設定 の章をご覧下さい。
代替のテンプレートファイル名を指定することで、 Phinx が使用するテンプレートファイルを上書きすることができます。
$ phinx create MyNewMigration --template="<file>"
テンプレート生成クラスを提供することもできます。このクラスはインタフェース
Phinx\Migration\CreationInterface
を実装しなければなりません。
$ phinx create MyNewMigration --class="<class>"
マイグレーションのテンプレートを提供するだけでなく、クラスはマイグレーションファイルが テンプレートから生成されると呼び出されるコールバックを定義することもできます。
--template
と --class
の両方を使用することはできません。
migrate コマンドは、すべての使用可能なマイグレーションを実行します。 オプションで特定のバージョンまで実行できます。
$ phinx migrate -e development
特定のバージョンにマイグレーションするには、 --target
パラメーターまたは省略して
-t
を使用します。
$ phinx migrate -e development -t 20110103081132
--dry-run
を使って、クエリーを実行せずに標準出力に出力します。
$ phinx migrate --dry-run
rollback コマンドは、Phinx によって実行された以前のマイグレーションを取り消すために使用されます。 これは、migrate コマンドの反対です。
引数を指定せずに rollback
コマンドを使用すると、以前の移行にロールバックすることができます。
$ phinx rollback -e development
すべてのマイグレーションを特定のバージョンにロールバックするには、 --target
パラメーターまたは
省略して -t
を使用します。
$ phinx rollback -e development -t 20120103083322
ターゲットバージョンとして 0 を指定すると、すべてのマイグレーションが元に戻ります。
$ phinx rollback -e development -t 0
すべてのマイグレーションを特定の日付にロールバックするには、 --date
パラメーターまたは省略して
-d
を省略して使用します。
$ phinx rollback -e development -d 2012
$ phinx rollback -e development -d 201201
$ phinx rollback -e development -d 20120103
$ phinx rollback -e development -d 2012010312
$ phinx rollback -e development -d 201201031205
$ phinx rollback -e development -d 20120103120530
ブレークポイントが設定され、さらにロールバックをブロックしている場合は、 --force
パラメーターまたは
-f
を使ってブレークポイントをオーバーライドすることができます。
$ phinx rollback -e development -t 0 -f
--dry-run
を使って、クエリーを実行せずに標準出力に出力します。
$ phinx rollback --dry-run
注釈
ロールバックすると、Phinx は phinx.yml
ファイルの version_order
オプションで
指定された順序で実行されたマイグレーションを処理します。
詳しくは 設定 の章をご覧下さい。
status コマンドは、すべてのマイグレーションのリストを現在のステータスとともに表示します。 このコマンドを使用して、実行されたマイグレーションを確認できます。
$ phinx status -e development
このコマンドは、データベースが最新の場合(つまり、すべてのマイグレーションが稼働している場合) コード0で終了します。またはそれ以外の場合は、次のコードのいずれかで終了します。
1: 実行されるマイグレーションが少なくとも1つ残っています。
2: マイグレーションが実行され、データベースに記録されましたが、マイグレーションファイルが有りません。
breakpoint コマンドは、ブレークポイントを設定するために使用され、ロールバックを制限することができます。 最新のマイグレーションのブレークポイントは、パラメーターを指定しないで切り替えることができます。
$ phinx breakpoint -e development
特定のバージョンでブレークポイントを切り替えるには、 --target
パラメーターまたは省略して
-t
を使用します。
$ phinx breakpoint -e development -t 20120103083322
全てのブレークポイントを削除するには、 --remove-all
パラメーターまたは省略して
-r
を使用します。
$ phinx breakpoint -e development -r
ブレークポイントは、 status
コマンドを実行すると表示されます。
seed:create コマンドを使用して、新しいデータベースシードクラスを作成できます。 1つの引数、クラスの名前が必要です。クラス名はキャメルケース形式で指定する必要があります。
$ phinx seed:create MyNewSeeder
テキストエディターで新しいシードファイルを開き、データベースシードコマンドを追加します。
Phinx は phinx.yml
ファイルで指定されたパスを使ってシードファイルを作成します。
詳しくは 設定 の章をご覧下さい。
seed:run コマンドは、使用可能なすべてのシードクラスを実行するか、オプションで1つだけを実行します。
$ phinx seed:run -e development
シードクラスを1つだけ実行するには、 --seed
パラメーターまたは省略して -s
を使用します。
$ phinx seed:run -e development -s MyNewSeeder
コマンドラインから Phinx を実行するときは、 --configuration
または
-c
パラメーターを使って設定ファイルを指定することができます。
YAML に加えて、設定ファイルは PHP 配列として PHP ファイルの計算された出力でもよいです。
<?php
return [
"paths" => [
"migrations" => "application/migrations"
],
"environments" => [
"default_migration_table" => "phinxlog",
"default_database" => "dev",
"dev" => [
"adapter" => "mysql",
"host" => $_ENV['DB_HOST'],
"name" => $_ENV['DB_NAME'],
"user" => $_ENV['DB_USER'],
"pass" => $_ENV['DB_PASS'],
"port" => $_ENV['DB_PORT'],
]
]
];
Phinx は *.yml
と *.php
拡張子を持つファイルにどの言語パーサーを使うかを自動的に検出します。
適切なパーサーは、 --parser
と -p
パラメーターで指定することもできます。
"php"
以外は YAML として扱われます。
PHP 配列を使用する場合、既存の PDO インスタンスに connection
キーを提供することができます。
Phinx は hasTable()
のような特定のメソッドに対してデータベース名を必要とするため、
データベース名も渡すことも重要です。
<?php
return [
"paths" => [
"migrations" => "application/migrations"
],
"environments" => [
"default_migration_table" => "phinxlog",
"default_database" => "dev",
"dev" => [
"name" => "dev_db",
"connection" => $pdo_instance
]
]
];
Phinx は Phinx\Wrapper\TextWrapper
クラスを使ってウェブアプリケーションの内部で
実行することもできます。この例は app/web.php
で提供されています。
これはスタンドアロンサーバーとして実行できます。
$ php -S localhost:8000 vendor/robmorgan/phinx/app/web.php
これはデフォルトで現在のマイグレーションの状態を表示する http://localhost:8000 にローカルウェブサーバーを作成します。マイグレーションを実行するには、 http://localhost:8000/migrate を使用し、ロールバックには http://localhost:8000/rollback を使用します。
付属のウェブアプリは一例に過ぎません、本番環境では使用しないでください!
注釈
実行時に設定変数を変更し、 %%PHINX_DBNAME%%
やその他の動的オプションを変更するには、
コマンドを実行する前に $_SERVER['PHINX_DBNAME']
を設定します。
使用可能なオプションは、設定ページに記載されています。
Phinx は、ユニットテスト内でデータベースを準備またはシードするために使用できます。 プログラムによって使用することができます。
public function setUp ()
{
$app = new PhinxApplication();
$app->setAutoExit(false);
$app->run(new StringInput('migrate'), new NullOutput());
}
メモリーデータベースを使用する場合は、Phinx に特定の PDO インスタンスを提供する必要があります。 Manager クラスを使用して Phinx と直接対話することができます。
use PDO;
use Phinx\Config\Config;
use Phinx\Migration\Manager;
use PHPUnit\Framework\TestCase;
use Symfony\Component\Console\Input\StringInput;
use Symfony\Component\Console\Output\NullOutput;
class DatabaseTestCase extends TestCase {
public function setUp ()
{
$pdo = new PDO('sqlite::memory:', null, null, [
PDO::ATTR_ERRMODE => PDO::ERRMODE_EXCEPTION
]);
$configArray = require('phinx.php');
$configArray['environments']['test'] = [
'adapter' => 'sqlite',
'connection' => $pdo
];
$config = new Config($configArray);
$manager = new Manager($config, new StringInput(' '), new NullOutput());
$manager->migrate('test');
$manager->seed('test');
// シード後にデフォルトのフェッチモードを変更することができます
$this->pdo->setAttribute(PDO::ATTR_DEFAULT_FETCH_MODE, PDO::FETCH_OBJ);
$this->pdo = $pdo;
}
}