CakePHP では、2種類の主要なオブジェクトを使ってデータベースのデータを操作します。 1種類目は リポジトリー や テーブルオブジェクト です。これらのオブジェクトを利用して、 データのコレクションへアクセスします。これらを利用することで、新しいレコードを保存したり、 既存データの編集/削除、リレーションの定義、そして一括処理ができます。 2種類目は エンティティー です。エンティティーは、個々のレコードを意味し、 行/レコードレベルの振る舞いや機能の定義を可能にします。
これら2つのクラスは、原則、あなたのデータ、正当性、相互作用や展開に関して発生するほぼすべてのことを 管理する役割を担います。
CakePHP の組み込み ORM はリレーショナルデータベースに特化していますが、 別のデータソースを選択するように拡張することも可能です。
CakePHP の ORM はアクティブレコードやデータマッパーパターンのアイデアやコンセプトを拝借しています。 その目的は、早く作成し、シンプルに ORM を利用するという2つの利点を混成させるためです。
ORM の調査を始める前に あなたのデータベース接続の設定 をご確認ください。
注釈
もし過去のバージョンの CakePHP に慣れ親しんでいる場合は、 新 ORM アップグレードガイド に記述されている CakePHP 3.0 と過去のバージョンとの違いを読むべきでしょう。
始めるにあたり、何もコードを書く必要はありません。もし、あなたのデータベーステーブルが CakePHP
の規約 に準拠している場合、すぐに ORM の利用を開始できます。
例えば articles
からいくつかデータをロードしたい場合、このように記述できます。
use Cake\ORM\TableRegistry;
$articles = TableRegistry::getTableLocator()->get('Articles');
$query = $articles->find();
foreach ($query as $row) {
echo $row->title;
}
ここで留意すべき点は、何もコードを作ったり設定を書いたりする必要がない点です。
CakePHP の規約により、お決まりのコード記述をスキップし、具象クラスを作っていない状態で
ベースクラスをフレームワークに登録することができます。もし ArticlesTable に幾つかの
アソシエーションを加えたりメソッドを定義したい場合、下記を
src/Model/Table/ArticlesTable.php 内、 <?php
の開始タグの後に追加します。
namespace App\Model\Table;
use Cake\ORM\Table;
class ArticlesTable extends Table
{
}
テーブルクラスは、キャメルケースのテーブル名に接尾語 Table
を加えます。
一度クラスを作成したら、 TableRegistry
経由で
TableLocator
を利用して参照できます。
use Cake\ORM\TableRegistry;
// $articles は、 ArticlesTable クラスのインスタンスです。
$articles = TableRegistry::getTableLocator()->get('Articles');
具象テーブルクラスがあると、具象化エンティティークラスが欲しくなります。
エンティティークラスはアクセッサーとミューテーターメソッドを定義でき、
個別や複数レコードにカスタムロジックを定義できます。
下記を src/Model/Entity/Article.php 内、 <?php
の開始タグの後に追加します。
namespace App\Model\Entity;
use Cake\ORM\Entity;
class Article extends Entity
{
}
エンティティーはデフォルトで単数形キャメルケースのテーブル名を利用します。 前の手順でエンティティークラスはすでに作ったので、データベースからエンティティーをロードした時に、 新しい Article クラスのインスタンスが生成されます。
use Cake\ORM\TableRegistry;
// ArticlesTable のインスタンス取得
$articles = TableRegistry::getTableLocator()->get('Articles');
$query = $articles->find();
foreach ($query as $row) {
// 各 row は、 Article クラスのインスタンスです。
echo $row->title;
}
CakePHP は命名規則でテーブルクラスとエンティティークラスを関連づけます。
もしテーブルにどのエンティティーを利用するかカスタマイズする必要があれば、
entityClass()
のメソッドを特定のクラス名にセットします。
テーブルオブジェクト と エンティティー の章に、 テーブルオブジェクトとエンティティーの使い方が詳しく記述されています。