ORM のクエリービルダーにより簡単に流れるようなインターフェイスを使ってクエリーを作り、 実行することができます。クエリーを組み立てることで、 union やサブクエリーを使った 高度なクエリーも簡単に作成することができます。
クエリービルダーは裏側で PDO プリペアードステートメント(prepared statement)を使うことで、 SQL インジェクション攻撃から守っています。
Query
オブジェクトを作成するもっとも簡単な方法は Table
オブジェクトから find()
を使うことです。このメソッドは完結していない状態のクエリーを返し、このクエリーは変更可能です。
必要なら、テーブルのコネクションオブジェクトも使うことで、ORM 機能を含まない、
より低い層のクエリービルダーにアクセスすることもできます。この詳細は クエリーの実行
のセクションを参照してください。
use Cake\ORM\TableRegistry;
// 3.6 より前は、 TableRegistry::get('Articles') を使用
$articles = TableRegistry::getTableLocator()->get('Articles');
// 新しいクエリーを始めます。
$query = $articles->find();
コントローラーの中では自動的に慣習的な機能を使って作成されるテーブル変数を使うことができます。
// ArticlesController.php の中で
$query = $this->Articles->find();
use Cake\ORM\TableRegistry;
// 3.6 より前は、 TableRegistry::get('Articles') を使用
$query = TableRegistry::getTableLocator()->get('Articles')->find();
foreach ($query as $article) {
debug($article->title);
}
以降の例では $articles
は Table
であると想定します。
なお、コントローラーの中では $articles
の代わりに $this->Articles
を使うことができます。
Query
オブジェクトのほとんどのメソッドが自分自身のクエリーオブジェクトを返します。
これは Query
が遅延評価される(lazy)ことを意味し、必要になるまで実行されないことを
意味します。
$query->where(['id' => 1]); // 自分自身のクエリーオブジェクトを返します
$query->order(['title' => 'DESC']); // 自分自身を返し、SQL はまだ実行されません。
もちろん Query オブジェクトの呼び出しではメソッドをチェーンすることもできます。
$query = $articles
->find()
->select(['id', 'name'])
->where(['id !=' => 1])
->order(['created' => 'DESC']);
foreach ($query as $article) {
debug($article->created);
}
Query オブジェクトを debug()
で使うと、内部の状態とデータベースで実行されることになる
SQL が出力されます。
debug($articles->find()->where(['id' => 1]));
// 出力
// ...
// 'sql' => 'SELECT * FROM articles where id = ?'
// ...
foreach
を使わずに、クエリーを直接実行することができます。もっとも簡単なのは
all()
メソッドか toList()
メソッドのどちらかを呼ぶ方法です。
$resultsIteratorObject = $articles
->find()
->where(['id >' => 1])
->all();
foreach ($resultsIteratorObject as $article) {
debug($article->id);
}
$resultsArray = $articles
->find()
->where(['id >' => 1])
->toList();
foreach ($resultsArray as $article) {
debug($article->id);
}
debug($resultsArray[0]->title);
上記の例では、 $resultsIteratorObject
は Cake\ORM\ResultSet
のインスタンスです。
このインスタンスはイテレートすることができ、それが持つメソッドで部分取り出しなどができます。
多くの場合、 all()
を呼ぶ必要はなく、単に Query オブジェクトをイテレートすることで、
結果を得ることができます。Query オブジェクトはまた、結果オブジェクトとして直接使うこともできます。
クエリーをイテレートしたり、 toList()
を呼んだり、
Collection から継承したメソッドを呼んだりすると、
クエリーは実行され、結果が返ります。
first()
メソッドを使うことでクエリーの最初の結果を取得することができます。
$article = $articles
->find()
->where(['id' => 1])
->first();
debug($article->title);
// Collection ライブラリーの extract() メソッドを使います
// これもクエリーを実行します
$allTitles = $articles->find()->extract('title');
foreach ($allTitles as $title) {
echo $title;
}
クエリーの結果から key-value リストを得ることもできます。
$list = $articles->find('list');
foreach ($list as $id => $title) {
echo "$id : $title"
}
リストを生成するために使用するフィールドのカスタマイズの方法の詳しい情報は、 キー/値のペアを検索する セクションを参照してください。
Query オブジェクトのメソッドに慣れたら、 Collection を見て、効果的にデータを横断するスキルを磨くことを強くお勧めします。つまり、 Collection オブジェクトで呼ぶことができるものは、 Query オブジェクトでも呼ぶことができることを、 知っておくことは重要です。
// Collection ライブラリーの combine() メソッドを使います
// これは find('list') と等価です
$keyValueList = $articles->find()->combine('id', 'title');
// 上級な例
$results = $articles->find()
->where(['id >' => 1])
->order(['title' => 'DESC'])
->map(function ($row) { // map() は Collection のメソッドで、クエリーを実行します
$row->trimmedTitle = trim($row->title);
return $row;
})
->combine('id', 'trimmedTitle') // combine() も Collection のメソッドです
->toArray(); // これも Collection のメソッドです
foreach ($results as $id => $trimmedTitle) {
echo "$id : $trimmedTitle";
}
Query オブジェクトは遅延評価されます。 これはクエリーが次のいずれかが起こるまで実行されないということを意味します。
クエリーが foreach()
でイテレートされる。
クエリーの execute()
メソッドが呼ばれる。これは下層の statement オブジェクトを返し、
insert/update/delete クエリーで使うことができます。
クエリーの first()
メソッドが呼ばれる。 SELECT
(それがクエリーに LIMIT 1
を加えます) で構築された結果セットの最初の結果が返ります。
クエリーの all()
メソッドが呼ばれる。結果セットが返り、
SELECT
ステートメントでのみ使うことができます。
クエリーの toList()
や toArray()
メソッドが呼ばれる。
このような条件が合致するまでは、 SQL をデータベースへ送らずに、クエリーを変更することができます。 つまり、 Query が評価されないかぎり、SQL はデータベースへ送信されないのです。 クエリーが実行された後に、クエリーを変更・再評価したら、追加で SQL が走ることになります。
CakePHP が生成している SQL がどんなものか見たいなら、 クエリーロギング を on にしてください。
CakePHP では SELECT
クエリーを簡単につくれます。取得するフィールドを制限するのには、
select()
メソッドを使います。
$query = $articles->find();
$query->select(['id', 'title', 'body']);
foreach ($query as $row) {
debug($row->title);
}
連想配列でフィールドを渡すことでフィールドのエイリアス (別名) をセットすることができます。
// SELECT id AS pk, title AS aliased_title, body ... になる
$query = $articles->find();
$query->select(['pk' => 'id', 'aliased_title' => 'title', 'body']);
フィールドを select distinct するために、 distinct()
メソッドを使うことができます。
// SELECT DISTINCT country FROM ... になる
$query = $articles->find();
$query->select(['country'])
->distinct(['country']);
基本の条件をセットするには、 where()
メソッドを使うことができます。
// 条件は AND で連結されます
$query = $articles->find();
$query->where(['title' => 'First Post', 'published' => true]);
// where() を複数回呼んでもかまいません
$query = $articles->find();
$query->where(['title' => 'First Post'])
->where(['published' => true]);
無名関数を where()
メソッドに渡すこともできます。渡された無名関数は、第一引数として
\Cake\Database\Expression\QueryExpression
のインスタンス、第二引数として
\Cake\ORM\Query
を受け取ります。
$query = $articles->find();
$query->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->eq('published', true);
});
さらに複雑な WHERE
条件の作り方を知りたい場合は 高度な条件
のセクションをご覧ください。ソート順を適用するために、 order
メソッドが使用できます。
$query = $articles->find()
->order(['title' => 'ASC', 'id' => 'ASC']);
一つのクエリーで order()
を複数回呼ぶと、複数の句が追加されます。
しかし、ファインダーを使用する時、 ORDER BY
を上書きする必要が生じることもあります。
order()
(orderAsc()
や orderDesc()
も同様に) の第2パラメーターに
Query::OVERWRITE
または true
をセットしてください。
$query = $articles->find()
->order(['title' => 'ASC']);
// あとで、ORDER BY 句を追加の代わりに上書きします。
$query = $articles->find()
->order(['created' => 'DESC'], Query::OVERWRITE);
バージョン 3.0.12 で追加: 複合的な式でソートする必要があるなら order
に加えて、 orderAsc
と orderDesc
メソッドが使えます。
$query = $articles->find();
$concat = $query->func()->concat([
'title' => 'identifier',
'synopsis' => 'identifier'
]);
$query->orderAsc($concat);
行の数を制限したり、行のオフセットをセットするためには、 limit()
と page()
メソッドを使うことができます。
// 50 から 100 行目をフェッチする
$query = $articles->find()
->limit(50)
->page(2);
上記の例にあるように、クエリーを変更するすべてのメソッドは流暢 (fluent) なインターフェイスを提供しますので、クエリーを構築する際にチェーンメソッドの形で呼び出すことができます。
クエリーはデフォルトでテーブルのすべてのフィールドを選択します。
例外となるのは select()
関数をあえて呼び、特定のフィールドを指定した場合だけです。
// articles テーブルから id と title だけが選択される
$articles->find()->select(['id', 'title']);
select($fields)
を呼んで、なおもテーブルのすべてのフィールドを選択したいなら、
次の方法でテーブルインスタンスを select()
に渡すことができます。
// 計算された slug フィールドを含む、 articles テーブルのすべてのフィールドを取得
$query = $articlesTable->find();
$query
->select(['slug' => $query->func()->concat(['title' => 'identifier', '-', 'id' => 'identifier'])])
->select($articlesTable); // articles のすべてのフィールドを選択する
バージョン 3.1 で追加: テーブルオブジェクトを select() に渡すのは 3.1 で追加されました。
テーブル上のいくつかのフィールド以外のすべてのフィールドを選択したい場合には
selectAllExcept()
を使用できます。
$query = $articlesTable->find();
// published フィールドを除く全てのフィールドを取得
$query->selectAllExcept($articlesTable, ['published']);
アソシエーションが含まれる場合、 Association
オブジェクトを渡すこともできます。
バージョン 3.6.0 で追加: selectAllExcept()
メソッドが追加されました。
CakePHP の ORM では抽象化された馴染み深い SQL 関数をいくつか使えるようになっています。
抽象化により ORM は、プラットフォーム固有の実装を選んで関数を実行できるようになっています。
たとえば、 concat
は MySQL、PostgreSQL、SQL Server で異なる実装がされています。
抽象化によりあなたのコードが移植しやすいものになります。
// SELECT COUNT(*) count FROM ... になる
$query = $articles->find();
$query->select(['count' => $query->func()->count('*')]);
多くのおなじみの関数が func()
メソッドとともに作成できます:
sum()
合計を算出します。引数はリテラル値として扱われます。
avg()
平均値を算出します。引数はリテラル値として扱われます。
min()
カラムの最小値を算出します。引数はリテラル値として扱われます。
max()
カラムの最大値を算出します。引数はリテラル値として扱われます。
count()
件数を算出します。引数はリテラル値として扱われます。
concat()
2つの値を結合します。引数はリテラルだとマークされない限り、
バインドパラメーターとして扱われます。
coalesce()
Coalesce を算出します。引数はリテラルだとマークされない限り、
バインドパラメーターとして扱われます。
dateDiff()
2つの日にち/時間の差を取得します。引数はリテラルだとマークされない限り、
バインドパラメーターとして扱われます。
now()
'time' もしくは 'date' を取得します。引数で現在の時刻もしくは日付のどちらを
取得するのかを指定できます。
extract()
SQL 式から特定の日付部分(年など)を返します。
dateAdd()
日付式に単位時間を追加します。
dayOfWeek()
SQL の WEEKDAY 関数を呼ぶ FunctionExpression を返します。
バージョン 3.1 で追加: extract()
、 dateAdd()
、 dayOfWeek()
メソッドが追加されました。
SQL 関数に渡す引数には、リテラルの引数と、バインドパラメーターの2種類がありえます。 識別子やリテラルのパラメーターにより、カラムや他の SQL リテラルを参照できます。 バインドパラメーターにより、ユーザーデータを SQL 関数へと安全に渡すことができます。 たとえば:
$query = $articles->find()->innerJoinWith('Categories');
$concat = $query->func()->concat([
'Articles.title' => 'identifier',
' - CAT: ',
'Categories.name' => 'identifier',
' - Age: ',
'(DATEDIFF(NOW(), Articles.created))' => 'literal',
]);
$query->select(['link_title' => $concat]);
literal
の値を伴う引数を作ることで、 ORM はそのキーをリテラルな SQL 値として扱うべきであると
知ることになります。 identifier
の値を伴う引数を作ることで、ORM は、そのキーがフィールドの
識別子として扱うべきであると知ることになります。上記では MySQL にて下記の SQL が生成されます。
SELECT CONCAT(Articles.title, :c0, Categories.name, :c1, (DATEDIFF(NOW(), Articles.created))) FROM articles;
クエリーが実行される際には、 :c0
という値に ' - CAT'
というテキストがバインドされることになります。
上記の関数に加え、 func()
メソッドは year
、 date_format
、 convert
などといった、
一般的な SQL 関数を構築するのに使います。
たとえば:
$query = $articles->find();
$year = $query->func()->year([
'created' => 'identifier'
]);
$time = $query->func()->date_format([
'created' => 'identifier',
"'%H:%i'" => 'literal'
]);
$query->select([
'yearCreated' => $year,
'timeCreated' => $time
]);
このようになります。
SELECT YEAR(created) as yearCreated, DATE_FORMAT(created, '%H:%i') as timeCreated FROM articles;
安全ではないデータを、 SQL 関数やストアドプロシージャに渡す必要がある際には必ず、 関数ビルダーを使うということを覚えておいてください。
// ストアドプロシージャを使う
$query = $articles->find();
$lev = $query->func()->levenshtein([$search, 'LOWER(title)' => 'literal']);
$query->where(function (QueryExpression $exp) use ($lev) {
return $exp->between($lev, 0, $tolerance);
});
// 生成される SQL はこうなります
WHERE levenshtein(:c0, lower(street)) BETWEEN :c1 AND :c2
count
や sum
のような集約関数を使う際には、
group by
や having
句を使いたいことでしょう。
$query = $articles->find();
$query->select([
'count' => $query->func()->count('view_count'),
'published_date' => 'DATE(created)'
])
->group('published_date')
->having(['count >' => 3]);
ORM ではまた、 SQL の case
式も使えます。 case
式により if ... then ... else
のロジックを SQL の中に実装することができます。これは条件付きで sum や count をしなければならない
状況や、条件に基いてデータを特定しなければならない状況で、データを出力するのに便利です。
公開済みの記事(published articles)がデータベース内にいくつあるのか知りたい場合、次の SQL を使用することができます。
SELECT
COUNT(CASE WHEN published = 'Y' THEN 1 END) AS number_published,
COUNT(CASE WHEN published = 'N' THEN 1 END) AS number_unpublished
FROM articles
これはクエリービルダーでは次のようなコードになります。
$query = $articles->find();
$publishedCase = $query->newExpr()
->addCase(
$query->newExpr()->add(['published' => 'Y']),
1,
'integer'
);
$unpublishedCase = $query->newExpr()
->addCase(
$query->newExpr()->add(['published' => 'N']),
1,
'integer'
);
$query->select([
'number_published' => $query->func()->count($publishedCase),
'number_unpublished' => $query->func()->count($unpublishedCase)
]);
addCase
関数は SQL 内で if .. then .. [elseif .. then .. ] [ .. else ]
ロジックを構築するために複数の文を一まとめに書くことができます。
町 (city) を人口 (population size) に基いて SMALL、MEDIUM、LARGE に分類するなら、 次のようになります。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->addCase(
[
$q->newExpr()->lt('population', 100000),
$q->newExpr()->between('population', 100000, 999000),
$q->newExpr()->gte('population', 999001),
],
['SMALL', 'MEDIUM', 'LARGE'], # 条件に合致したときの値
['string', 'string', 'string'] # それぞれの値の型
);
});
# WHERE CASE
# WHEN population < 100000 THEN 'SMALL'
# WHEN population BETWEEN 100000 AND 999000 THEN 'MEDIUM'
# WHEN population >= 999001 THEN 'LARGE'
# END
値リストよりも case 条件リストの方が少ない場合はいつでも、 addCase
は自動的に
if .. then .. else
文を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->addCase(
[
$q->newExpr()->eq('population', 0),
],
['DESERTED', 'INHABITED'], # 条件に合致したときの値
['string', 'string'] # それぞれの値の型
);
});
# WHERE CASE
# WHEN population = 0 THEN 'DESERTED' ELSE 'INHABITED' END
ORM とオブジェクトの結果セットは強力である一方で、エンティティーの作成が不要なときもあります。 たとえば、集約されたデータにアクセスする場合、Entity を構築するのは無意味です。 データベースの結果をエンティティーに変換する処理は、ハイドレーション (hydration) と呼ばれます。 もし、この処理を無効化したい場合、このようにします。
$query = $articles->find();
$query->enableHydration(false); // エンティティーの代わりに配列を返す
$result = $query->toList(); // クエリーを実行し、配列を返す
これらの行を実行した後、結果はこのようになります。
[
['id' => 1, 'title' => 'First Article', 'body' => 'Article 1 body' ...],
['id' => 2, 'title' => 'Second Article', 'body' => 'Article 2 body' ...],
...
]
クエリー後に何か後処理をする必要があるかもしれません。
計算フィールドや生成された (derived) データをいくつか追加する必要があるなら、
formatResults()
メソッドを使うことができます。
これにより軽い負荷で、結果セットを map することができます。
この処理をこれ以上に制御する必要があるなら、もしくは、結果セットを reduce する必要があるなら、
Map/Reduce 機能を代わりに使ってください。
人々のリストを問い合わせる際に、formatResults を使って年齢 (age) を算出するなら次のようになります。
// フィールド、条件、関連が構築済であると仮定します。
$query->formatResults(function (\Cake\Collection\CollectionInterface $results) {
return $results->map(function ($row) {
$row['age'] = $row['birth_date']->diff(new \DateTime)->y;
return $row;
});
});
上記の例にあるように、フォーマッタ関数(フォーマットするコールバック)の第1引数に
ResultSetDecorator
が渡されています。第2引数にはフォーマッタ関数がセットされる
Query インスタンスが渡されます。引数の $results
は必要に応じて、
取り出しでも変換でもすることができます。
フォーマッタ関数は、クエリーが値を返せるようにするために、イテレータオブジェクトを返す必要があります。 フォーマッタ関数はすべての Map/Reduce が実行し終わった後、適用されます。 contain された関連の中からでも同じようにフォーマッタ関数を適用することができます。 CakePHP はフォーマッタ関数が適切なスコープになるよう保証します。 たとえば、下記のようにした場合でも、期待どおりに動きます。
// Articles テーブル内のメソッドで
$query->contain(['Authors' => function ($q) {
return $q->formatResults(function (\Cake\Collection\CollectionInterface $authors) {
return $authors->map(function ($author) {
$author['age'] = $author['birth_date']->diff(new \DateTime)->y;
return $author;
});
});
}]);
// 結果を取得する
$results = $query->all();
// 29 が出力される
echo $results->first()->author->age;
上記にあるように、関連付いたクエリービルダーに設置されたフォーマッタ関数は、 関連付いたデータの中だけの操作にスコープが限定されます。 CakePHP は計算された値が正しい Entity にセットされることを保証します。
クエリービルダーは複雑な where
句の構築を簡単にします。
グループ化された条件は、 where()
と Expression オブジェクトを組み合わせることで表現できます。
単純なクエリーの場合、条件の配列を使用して条件を作成できます。
$query = $articles->find()
->where([
'author_id' => 3,
'OR' => [['view_count' => 2], ['view_count' => 3]],
]);
上記は次のような SQL を生成します。
SELECT * FROM articles WHERE author_id = 3 AND (view_count = 2 OR view_count = 3)
深くネストされた配列を避けたい場合は、 where()
のコールバック形式を使用して
クエリーを構築することができます。コールバック形式を使用すると、
式ビルダーを使用して配列なしでより複雑な条件を作成できます。例:
$query = $articles->find()->where(function ($exp, $query) {
// 同一フィールドに複数条件を追加するために add() を使用
$author = $exp->or(['author_id' => 3])->add(['author_id' => 2]);
$published = $exp->and(['published' => true, 'view_count' => 10]);
return $exp->or([
'promoted' => true,
$exp->and([$author, $published])
]);
});
上記は次のような SQL を出力します。
SELECT *
FROM articles
WHERE (
(
(author_id = 2 OR author_id = 3)
AND
(published = 1 AND view_count > 10)
)
OR promoted = 1
)
where()
関数に渡される Expression オブジェクトには2種類のメソッドがあります。
1種類目のメソッドは 結合子 (and や or) です。 and()
と or()
メソッドは条件が
どう 結合されるかが変更された新しい Expression オブジェクトを作成します。2種類目のメソッドは
条件 です。条件は、現在の結合子を使って結合され、Expression オブジェクトに追加されます。
たとえば、 $exp->and(...)
を呼ぶと、そこに含まれるすべての条件が AND
で結合された、
新しい Expression
オブジェクトが作成されます。 $exp->or()
の場合は 、
そこに含まれるすべての条件が OR
で結合された、新しい Expression
オブジェクトが作成されます。
Expression
object で条件を追加する例は次のようになります。
$query = $articles->find()
->where(function (QueryExpression $exp) {
return $exp
->eq('author_id', 2)
->eq('published', true)
->notEq('spam', true)
->gt('view_count', 10);
});
where()
を使い始めた場合、 and()
は暗黙的に選ばれているため、それを呼ぶ必要はありません。
上記の例では新たな条件がいくつか AND
で結合されています。結果の SQL は次のようになります。
SELECT *
FROM articles
WHERE (
author_id = 2
AND published = 1
AND spam != 1
AND view_count > 10)
バージョン 3.5.0 で非推奨: 3.5.0 以降、 orWhere()
メソッドは非推奨です。このメソッドは、現在のクエリー状態に基づいて
SQL を予測するのを困難にします。代わりに where()
を使用してください。振る舞いが、
より予測しやすく理解しやすくなります。
ただし、 AND
と OR
の両方を使いたいなら、次のようにすることもできます。
$query = $articles->find()
->where(function (QueryExpression $exp) {
$orConditions = $exp->or(['author_id' => 2])
->eq('author_id', 5);
return $exp
->add($orConditions)
->eq('published', true)
->gte('view_count', 10);
});
これは下記のような SQL を生成します。
SELECT *
FROM articles
WHERE (
(author_id = 2 OR author_id = 5)
AND published = 1
AND view_count >= 10)
or()
と and()
メソッドはまた、それらの引数に関数も渡せるようになっています。
これはメソッドをチェーンさせる際に可読性を上げられることが良く有ります。
$query = $articles->find()
->where(function (QueryExpression $exp) {
$orConditions = $exp->or(function ($or) {
return $or->eq('author_id', 2)
->eq('author_id', 5);
});
return $exp
->not($orConditions)
->lte('view_count', 10);
});
not()
を使って式を否定することができます。
$query = $articles->find()
->where(function (QueryExpression $exp) {
$orConditions = $exp->or(['author_id' => 2])
->eq('author_id', 5);
return $exp
->not($orConditions)
->lte('view_count', 10);
});
これは下記のような SQL を生成します。
SELECT *
FROM articles
WHERE (
NOT (author_id = 2 OR author_id = 5)
AND view_count <= 10)
SQL 関数を使った式を構築することも可能です。
$query = $articles->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
$year = $q->func()->year([
'created' => 'identifier'
]);
return $exp
->gte($year, 2014)
->eq('published', true);
});
これは下記のような SQL を生成します。
SELECT *
FROM articles
WHERE (
YEAR(created) >= 2014
AND published = 1
)
Expression オブジェクトを使う際、下記のメソッド使って条件を作成できます:
eq()
等号の条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->eq('population', '10000');
});
# WHERE population = 10000
notEq()
不等号の条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->notEq('population', '10000');
});
# WHERE population != 10000
like()
LIKE
演算子を使った条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->like('name', '%A%');
});
# WHERE name LIKE "%A%"
notLike()
LIKE
条件の否定を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->notLike('name', '%A%');
});
# WHERE name NOT LIKE "%A%"
in()
IN
を使った条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->in('country_id', ['AFG', 'USA', 'EST']);
});
# WHERE country_id IN ('AFG', 'USA', 'EST')
notIn()
IN
を使った条件の否定を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->notIn('country_id', ['AFG', 'USA', 'EST']);
});
# WHERE country_id NOT IN ('AFG', 'USA', 'EST')
gt()
>
の条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->gt('population', '10000');
});
# WHERE population > 10000
gte()
>=
の条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->gte('population', '10000');
});
# WHERE population >= 10000
lt()
<
の条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->lt('population', '10000');
});
# WHERE population < 10000
lte()
<=
の条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->lte('population', '10000');
});
# WHERE population <= 10000
isNull()
IS NULL
の条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->isNull('population');
});
# WHERE (population) IS NULL
isNotNull()
IS NULL
の条件の否定を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->isNotNull('population');
});
# WHERE (population) IS NOT NULL
between()
BETWEEN
の条件を作成します。
$query = $cities->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->between('population', 999, 5000000);
});
# WHERE population BETWEEN 999 AND 5000000,
exists()
EXISTS
を使用した条件を作成します。
$subquery = $cities->find()
->select(['id'])
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->equalFields('countries.id', 'cities.country_id');
})
->andWhere(['population >' => 5000000]);
$query = $countries->find()
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) use ($subquery) {
return $exp->exists($subquery);
});
# WHERE EXISTS (SELECT id FROM cities WHERE countries.id = cities.country_id AND population > 5000000)
notExists()
EXISTS
を使用した条件の否定を作成します。
$subquery = $cities->find()
->select(['id'])
->where(function (QueryExpression $exp, Query $q) {
return $exp->equalFields('countries.id', 'cities.country_id');
})
->andWhere(['population >' => 5000000]);
$query = $countries->find()
->where(function ($exp, $q) use ($subquery) {
return $exp->notExists($subquery);
});
# WHERE NOT EXISTS (SELECT id FROM cities WHERE countries.id = cities.country_id AND population > 5000000)
あたなの望む条件を作成するビルダーメソッドが取得できなかったり利用したくない場合、 WHERE 句の中で SQL スニペットを使えるようにもできます。
// 2つのフィールドをお互いに比較
$query->where(['Categories.parent_id != Parents.id']);
警告
式 (expression) の中で使われる列名や SQL スニペットには安全性が確実でない内容を 絶対に含めてはいけません 。関数の呼び出しで、安全でないデータを安全に渡す 方法については SQL 関数を使う のセクションを参照してください。
クエリーの中でカラムや SQL 識別子を参照する必要がある場合、
identifier()
メソッドが使用できます。
$query = $countries->find();
$query->select([
'year' => $query->func()->year([$query->identifier('created')])
])
->where(function ($exp, $query) {
return $exp->gt('population', 100000);
});
警告
SQL インジェクションを防ぐため、識別子の式には信頼できないデータを渡すべきではありません。
バージョン 3.6.0 で追加: Query::identifier()
は 3.6.0 で追加されました。
ORM を使ってクエリーをビルドする際、大抵の場合、利用するカラムのデータ型を指定する必要はありません。
なぜなら CakePHP はスキーマデータに基いて推測することができるためです。
もしクエリーの中で CakePHP に自動的に等号を IN
に変えさせたいなら、
カラムのデータ型を明示する必要があります。
$query = $articles->find()
->where(['id' => $ids], ['id' => 'integer[]']);
// もしくは、自動的に配列へとキャストさせるために IN を含めます。
$query = $articles->find()
->where(['id IN' => $ids]);
上記では自動的に id = ?
ではなく id IN (...)
が作成されます。
これは、パラメーターが単数か配列か判らない場合に便利です。データ型名の末尾に付く []
という接尾辞は、
扱いたいデータが配列であることをクエリービルダーに知らせます。
もしもデータが配列でなかったなら、まず、配列へとキャストされることになります。
その後、配列の各値は type system を使ってキャストされることになります。
これは複合型であっても同様に動きます。たとえば、DateTime オブジェクトのリストも使うことができます。
$query = $articles->find()
->where(['post_date' => $dates], ['post_date' => 'date[]']);
条件の値が null
かもしれないし、他の値かもしれない場合、 IS
演算子を使うことで
自動的に正しい式が作成されます。
$query = $categories->find()
->where(['parent_id IS' => $parentId]);
上記は $parentId
の型に応じて parent_id` = :c1
もしくは parent_id IS NULL
が自動的に作成されます。
条件として非 null
もしくは、他の値でないことを期待する場合、 IS NOT
演算子を使うことで
自動的に正しい式が作成されます。
$query = $categories->find()
->where(['parent_id IS NOT' => $parentId]);
上記は $parentId
の型に応じて parent_id` != :c1
もしくは parent_id IS NOT NULL
が自動的に作成されます。
クエリービルダーでは目的の SQL が構築できない場合、Expression オブジェクトを使って、 SQL の断片をクエリーに追加することができます。
$query = $articles->find();
$expr = $query->newExpr()->add('1 + 1');
$query->select(['two' => $expr]);
Expression
オブジェクトは where()
、 limit()
。 group()
、 select()
等のようなクエリービルダーのメソッドで使うことができます。
警告
Expression オブジェクトを使うと SQL インジェクションに対して脆弱になります。 式の中で信頼できないデータを使用しないでください。
クエリーができたら、それから行を受け取りたいでしょう。これにはいくつかの方法があります。
// クエリーをイテレートする
foreach ($query as $row) {
// なにかする
}
// 結果を取得する
$results = $query->all();
Query オブジェクトでは Collection のメソッドがどれでも使えます。それらで結果を前処理したり、変換したりすることができます。
// コレクションのメソッドを使う
$ids = $query->map(function ($row) {
return $row->id;
});
$maxAge = $query->max(function ($max) {
return $max->age;
});
first
や firstOrFail
を使って、単一のレコードを受け取ることができます。
これらのメソッドはクエリーに LIMIT 1
句を付加した形に変更します。
// 最初の行だけを取得する
$row = $query->first();
// 最初の行を取得する。できないなら例外とする。
$row = $query->firstOrFail();
Query オブジェクトを使って、条件の結果見つかった行の合計数を取得することができます。
$total = $articles->find()->where(['is_active' => true])->count();
count()
メソッドは limit
、 offset
、 page
句を無視します。
それゆえ、下記でも同じ結果を返すことになります。
$total = $articles->find()->where(['is_active' => true])->limit(10)->count();
これは、別の Query
オブジェクトを構築する必要なく、結果セットの合計数を前もって知ることが
できるので便利です。同様に、結果のフォーマット (result formatting)、Map/Reduce 処理は
count()
を使う際には無視されます。
加えて言うと、group by 句を含んだクエリーの合計数を、クエリーを少しも書き直すことなく、 取得することが可能です。たとえば、記事 (article) の id と、そのコメント (comment) 件数を 取得するクエリーを考えてみましょう。
$query = $articles->find();
$query->select(['Articles.id', $query->func()->count('Comments.id')])
->matching('Comments')
->group(['Articles.id']);
$total = $query->count();
カウント後でも、結びついたレコードをフェッチするのにクエリーを使うことができます。
$list = $query->all();
ときには、クエリーの合計件数を返すメソッドをカスタマイズしたくなることもあるでしょう。
たとえば、値をキャッシュしたり、合計行数を見積もったり、あるいは、left join のような
高負荷な部分を取り除くようにクエリーを変更したりなどです。
CakePHP のページネーション (pagination) システムでは count()
メソッドを呼び出しますので、
これは特に有用です。
$query = $query->where(['is_active' => true])->counter(function ($query) {
return 100000;
});
$query->count(); // 100000 を返す
上記の例では、PaginatorComponent が count メソッドを呼ぶ際には、 ハードコーディングされた行数を受け取ることになります。
変更されることのない Entity をフェッチする際、結果をキャッシュしたいと思うかもしれません。
Query
クラスでは簡単にこれを実現できます。
$query->cache('recent_articles');
これでクエリーの結果セットのキャッシュが有効になります。もし cache()
に1つだけの引数を渡した場合は、
'default' のキャッシュ・コンフィグレーションが使われることになります。
第2引数でどのキャッシュ・コンフィグレーションを使うのかを制御できます。
// 文字列で Config 名
$query->cache('recent_articles', 'dbResults');
// CacheEngine のインスタンス
$query->cache('recent_articles', $memcache);
cache()
メソッドは静的なキーだけでなく、 キーを生成する関数も受け取れます。
渡す関数は引数でクエリーを受け取りますので、クエリーの内容を読んで動的にキャッシュキーを
生成することができます。
// クエリーの where 句の単純なチェックサムに基づくキーを生成します
$query->cache(function ($q) {
return 'articles-' . md5(serialize($q->clause('where')));
});
キャッシュメソッドはキャッシュされた結果をカスタム finder に渡したり、 イベントリスナで使ったりするのを簡単にします。
キャッシュ設定されたクエリーが結果を返すときには次のようなことが起こります:
Model.beforeFind
イベントがトリガーされます。
クエリーが結果セットを保持しているなら、それを返します。
キャッシュキーを解決して、キャッシュデータを読みす。 キャッシュデータが空でなければ、その結果を返します。
キャッシュが無いなら、クエリーが実行され、新しい ResultSet
が作成されます。
この ResultSet
をキャッシュに登録し、返します。
注釈
ストリーミングクエリー (streaming query) の結果をキャッシュすることはできません。
クエリービルダーは同時に複数テーブルからデータを取り出す際に、できるだけ最少のクエリーで取り出せるように してくれます。関連付くデータをフェッチする際には、まず、アソシエーション - モデル同士を繋ぐ のセクションに あるようにテーブル間の関連をセットアップしてください。他のテーブルから関連するデータを フェッチするためにクエリーを合成する技術を イーガーロード (eager load) といいます。
イーガーロードは、ORM のレイジーロード (lazy load) 周辺に潜むパフォーマンス問題の多くを避けるのに役立ちます。 イーガーロードで生成されたクエリーは JOIN に影響を与えて、効率的なクエリーが作られるようになります。 CakePHP では 'contain' メソッドを使って関連データのイーガーロードを定義します。
// コントローラーやテーブルのメソッド内で
// find() のオプションとして
$query = $articles->find('all', ['contain' => ['Authors', 'Comments']]);
// クエリーオブジェクトのメソッドとして
$query = $articles->find('all');
$query->contain(['Authors', 'Comments']);
上記では関連する author と comment を結果セットの article ごとにロードします。 ロードする関連データを定義するためのネストされた配列を使って、ネストされた関連データを ロードすることができます。
$query = $articles->find()->contain([
'Authors' => ['Addresses'], 'Comments' => ['Authors']
]);
または、ドット記法を使ってネストされた関連データを表現することもできます。
$query = $articles->find()->contain([
'Authors.Addresses',
'Comments.Authors'
]);
好きなだけ深く関連データをイーガーロードできます。
$query = $products->find()->contain([
'Shops.Cities.Countries',
'Shops.Managers'
]);
複数の簡単な contain()
文を使って全ての関連データからフィールドを選択できます。
$query = $this->find()->select([
'Realestates.id',
'Realestates.title',
'Realestates.description'
])
->contain([
'RealestateAttributes' => [
'Attributes' => [
'fields' => [
// contain() の中で別名がつけられたフィールドは、
// 正しくマップされたモデルのプレフィックスが含まれていなければなりません。
'Attributes__name' => 'attr_name'
]
]
]
])
->contain([
'RealestateAttributes' => [
'fields' => [
'RealestateAttributes.realestate_id',
'RealestateAttributes.value'
]
]
])
->where($condition);
クエリー上の contain を再設定する必要があるなら、第2引数に true
を指定することができます。
$query = $articles->find();
$query->contain(['Authors', 'Comments'], true);
contain()
を使う際、関連によって返される列を限定し、条件によってフィルターすることができます。
条件を指定するには、第1引数としてクエリーオブジェクト
\Cake\ORM\Query
を受け取る無名関数を渡します。
// コントローラーやテーブルのメソッド内で
// 3.5.0 より前は、 contain(['Comments' => function () { ... }]) を使用
$query = $articles->find()->contain('Comments', function (Query $q) {
return $q
->select(['body', 'author_id'])
->where(['Comments.approved' => true]);
});
これは、またコントローラーレベルでページネーションが働きます。
$this->paginate['contain'] = [
'Comments' => function (Query $query) {
return $query->select(['body', 'author_id'])
->where(['Comments.approved' => true]);
}
];
注釈
関連によってフェッチされるフィールドを限定する場合、外部キーの列が確実に select されなければなりません 。外部キーのカラムが select されない場合、関連データが 最終的な結果の中に無いということがおこります。
ドット記法を使って、深くネストされた関連データを制限することも可能です。
$query = $articles->find()->contain([
'Comments',
'Authors.Profiles' => function (Query $q) {
return $q->where(['Profiles.is_published' => true]);
}
]);
上記の例では、公開されたプロファイル (profile) を持たなくても、著者 (author) は引き続き取得します。
公開されたプロファイル (profile) を持つ著者のみを取得するには、
matching() を使用してください。
関連にカスタム Finder メソッドをいくつか定義しているなら、 contain()
の中で
それらを使うことができます。
// すべての article を取り出すが、承認され (approved)、人気のある (popular) ものだけに限定する
$query = $articles->find()->contain('Comments', function (Query $q) {
return $q->find('approved')->find('popular');
});
注釈
BelongsTo
と HasOne
の関連で関連するレコードをロードする際には where
句と
select
句だけが使用可能です。これ以外の関連タイプであれば、クエリーオブジェクトが提供する
すべての句を使うことができます。
生成されたクエリー全体を完全にコントロールする必要があるなら、生成されたクエリーに contain()
に
foreignKey
制約を追加しないようにと指示を出すことができます。この場合、配列を使って
foreignKey
と queryBuilder
を渡してください。
$query = $articles->find()->contain([
'Authors' => [
'foreignKey' => false,
'queryBuilder' => function (Query $q) {
return $q->where(...); // フィルターのための完全な条件
}
]
]);
select()
でロードするフィールドを限定しているが、contain している関連データのフィールドも
またロードしたいなら、 select()
に関連オブジェクトを渡すこともできます。
// Articles から id と title を、 Users から全列を select する
$query = $articles->find()
->select(['id', 'title'])
->select($articles->Users)
->contain(['Users']);
別の方法として、複数の関連がある場合には、 enableAutoFields()
を使うことができます。
// Articles から id と title を、 Users、Comments、Tags から全列を select する
$query->select(['id', 'title'])
->contain(['Comments', 'Tags'])
->enableAutoFields(true) // 3.4.0 より前は autoFields(true) を使用
->contain(['Users' => function(Query $q) {
return $q->autoFields(true);
}]);
バージョン 3.1 で追加: 関連オブジェクトを介して列を select する機能は 3.1 で追加されました。
関連を HasMany や BelongsToMany でロードした時、 sort
オプションで、これら関連データを
ソートすることができます。
$query->contain([
'Comments' => [
'sort' => ['Comments.created' => 'DESC']
]
]);
関連データに関するクエリーでよくあるのは、指定の関連データに「マッチする (matching)」レコードを 見つけるものです。たとえば、 'Articles belongsToMany Tags' である場合、かなりの確率で、 CakePHP タグ (Tag) を持つ記事 (Article) を探したいはずです。 これは CakePHP の ORM では極めてシンプルにできます。
// コントローラーやテーブルのメソッド内で
$query = $articles->find();
$query->matching('Tags', function ($q) {
return $q->where(['Tags.name' => 'CakePHP']);
});
この戦略は HasMany の関連にも同様に適用できます。たとえば、'Authors HasMany Articles' である場合、 下記のようにして、最近公開された記事 (Article) のすべての投稿者 (Author) を抽出したいかもしれません。
$query = $authors->find();
$query->matching('Articles', function ($q) {
return $q->where(['Articles.created >=' => new DateTime('-10 days')]);
});
深い関連を使って抽出することも驚くほど簡単です。文法はすでによく知っているものです。
// コントローラーやテーブルのメソッド内で
$query = $products->find()->matching(
'Shops.Cities.Countries', function ($q) {
return $q->where(['Countries.name' => 'Japan']);
}
);
// 渡された変数を使って 'markstory' によってコメントされた記事 (Article) をユニークに取り出す
// ドット区切りのマッチングパスは、ネストされた matching() 呼び出しでも使われます
$username = 'markstory';
$query = $articles->find()->matching('Comments.Users', function ($q) use ($username) {
return $q->where(['username' => $username]);
});
注釈
この機能は INNER JOIN
句を生成しますので、条件によりすでに除外していない限り、
取得した行が重複しているかもしれず、find クエリーでは distinct
の呼び出しを考えたいことでしょう。
これは、たとえば、同じユーザーが一つの記事 (Article) に複数回コメントした場合にありえます。
関連から「マッチ ('matched') した」ことで取得されるデータはエンティティーの _matchingData
プロパティーで利用可能です。同一の関連を match かつ contain している場合、結果には
_matchingData
プロパティーと標準の関連系のプロパティーの両方があることになります。
matching()
関数を使うことで、すでに見てきたように、特定の関連との INNER JOIN
が作成され、
結果セットにもフィールドがロードされます。
matching()
を使いたいものの、結果セットにフィールドをロードしたくない状況もあるかもしれません。
この目的で innerJoinWith()
を使うことが出来ます。
$query = $articles->find();
$query->innerJoinWith('Tags', function ($q) {
return $q->where(['Tags.name' => 'CakePHP']);
});
innerJoinWith()
メソッドは matching()
と同様に動きます。
つまり、ドット記法を使うことで深くネストする関連を join できます。
$query = $products->find()->innerJoinWith(
'Shops.Cities.Countries', function ($q) {
return $q->where(['Countries.name' => 'Japan']);
}
);
違いは結果セットに追加のカラムが追加されず、 _matchingData
プロパティーがセットされないことだけです。
バージョン 3.1 で追加: Query::innerJoinWith() は 3.1 で追加されました。
matching()
の対義語となるのが notMatching()
です。この関数は結果を、
特定の関連に繋がっていないものだけにフィルターするようにクエリーを変更します。
// コントローラーやテーブルのメソッド内で
$query = $articlesTable
->find()
->notMatching('Tags', function ($q) {
return $q->where(['Tags.name' => '退屈']);
});
上記の例は 退屈
という単語でタグ付けされていない、すべての記事(Article)を検索します。
このメソッドを HasMany の関連にも同様に使うことができます。たとえば、10日以内に公開 (published)
されていない記事 (Article) のすべての作者 (Author) を検索することができます。
$query = $authorsTable
->find()
->notMatching('Articles', function ($q) {
return $q->where(['Articles.created >=' => new \DateTime('-10 days')]);
});
このメソッドを深い関連にマッチしないレコードだけにフィルターするために使うこともできます。 例えば、特定のユーザーによるコメントが付かなかった記事を見つけることができます。
$query = $articlesTable
->find()
->notMatching('Comments.Users', function ($q) {
return $q->where(['username' => 'jose']);
});
コメント (Comment) がまったく付いていない記事 (Article) も上記の条件を満たしてしまいますので、
matching()
と notMatching()
を混ぜて使いたくなるかもしれません。下記の例は
最低1件以上のコメント (Comment) を持つ記事 (Article) の中で特定ユーザーにコメントされているものを
除外して検索したものです。
$query = $articlesTable
->find()
->notMatching('Comments.Users', function ($q) {
return $q->where(['username' => 'jose']);
})
->matching('Comments');
注釈
notMatching()
は LEFT JOIN
句を生成しますので、条件により回避していない限り、
取得した行が重複しているかもしれず、find クエリーでは distinct
の呼び出しを
考えたいことでしょう。
matching()
関数の正反対となる notMatching()
ですが、いかなるデータも結果セットの
_matchingData
プロパティーに追加しないということを覚えておいてください。
バージョン 3.1 で追加: Query::notMatching() は 3.1 で追加されました。
時には、すべての関連レコードをロードしたくはないが、関連に基いて結果を計算したいということが
あるかもしれません。たとえば、記事 (Article) の全データと一緒に、記事ごとのコメント (Comment)
数をロードしたい場合には、 leftJoinWith()
関数が使えます。
$query = $articlesTable->find();
$query->select(['total_comments' => $query->func()->count('Comments.id')])
->leftJoinWith('Comments')
->group(['Articles.id'])
->enableAutoFields(true); // 3.4.0 より前は autoFields(true); を使用
上記クエリーの結果は Article データの結果に加え、データごとに total_comments
プロパティーが含まれます。
leftJoinWith()
はまた深くネストした関連にも使うことができます。たとえばこれは、
特定の単語でタグ (Tag) 付けされた記事 (Article) の数を投稿者 (Author) ごとに出したい場合に便利です。
$query = $authorsTable
->find()
->select(['total_articles' => $query->func()->count('Articles.id')])
->leftJoinWith('Articles.Tags', function ($q) {
return $q->where(['Tags.name' => 'awesome']);
})
->group(['Authors.id'])
->enableAutoFields(true); // 3.4.0 より前は autoFields(true); を使用
この関数は指定した関連からいずれのカラムも結果セットへとロードしません。
バージョン 3.1 で追加: Query::leftJoinWith() は 3.1 で追加されました。
関連付くデータを contain()
でロードすることもできますが、
追加の join をクエリービルダーに加えることもできます。
$query = $articles->find()
->join([
'table' => 'comments',
'alias' => 'c',
'type' => 'LEFT',
'conditions' => 'c.article_id = articles.id',
]);
複数 join の連想配列を渡すことで、複数の join を一度に追加できます。
$query = $articles->find()
->join([
'c' => [
'table' => 'comments',
'type' => 'LEFT',
'conditions' => 'c.article_id = articles.id',
],
'u' => [
'table' => 'users',
'type' => 'INNER',
'conditions' => 'u.id = articles.user_id',
]
]);
上記にあるように、join を加える際に、エイリアス (別名) を配列のキーで渡すことができます。 join の条件も条件の配列と同じように表現できます。
$query = $articles->find()
->join([
'c' => [
'table' => 'comments',
'type' => 'LEFT',
'conditions' => [
'c.created >' => new DateTime('-5 days'),
'c.moderated' => true,
'c.article_id = articles.id'
]
],
], ['c.created' => 'datetime', 'c.moderated' => 'boolean']);
手動で join を作成する際、配列による条件を使うなら、join 条件内の各列ごとにデータ型を渡す必要があります。
join 条件のデータ型を渡すことで、ORM はデータの型を SQL へと正しく変換できるのです。
join を作成する際には join()
だけでなく、rightJoin()
、 leftJoin()
、innerJoin()
を使うこともできます。
// エイリアスと文字列の条件で join する
$query = $articles->find();
$query->leftJoin(
['Authors' => 'authors'],
['Authors.id = Articles.author_id']);
// エイリアスと配列の条件・型で join する
$query = $articles->find();
$query->innerJoin(
['Authors' => 'authors'],
[
'Authors.promoted' => true,
'Authors.created' => new DateTime('-5 days'),
'Authors.id = Articles.author_id'
],
['Authors.promoted' => 'boolean', 'Authors.created' => 'datetime']);
注意しなければならないのは、 Connection
を定義する際に
quoteIdentifiers
オプションが true
の場合には、
テーブルの列間の join 条件は次のようにしなければならないということです。
$query = $articles->find()
->join([
'c' => [
'table' => 'comments',
'type' => 'LEFT',
'conditions' => [
'c.article_id' => new \Cake\Database\Expression\IdentifierExpression('articles.id')
]
],
]);
これは Query 内のすべての識別子に引用符が付くことを保証し、いくつかのデータベースドライバ (とくに PostgreSQL)でエラーが起こらないようにします。
前の例とは違って、insert するクエリーを作成するのに find()
は使わないでください。
代わりに、 query()
を使って新たな Query
オブジェクトを作成します。
$query = $articles->query();
$query->insert(['title', 'body'])
->values([
'title' => 'First post',
'body' => 'Some body text'
])
->execute();
1つのクエリーで複数の行を insert するために values()
メソッドを、必要な回数分
つなげることができます。
$query = $articles->query();
$query->insert(['title', 'body'])
->values([
'title' => 'First post',
'body' => 'Some body text'
])
->values([
'title' => 'Second post',
'body' => 'Another body text'
])
->execute();
通常は、エンティティーを使い、 save()
でデータを
insert するほうが簡単です。また、SELECT
と INSERT
を一緒に構築すれば、
INSERT INTO ... SELECT
スタイルのクエリーを作成することができます。
$select = $articles->find()
->select(['title', 'body', 'published'])
->where(['id' => 3]);
$query = $articles->query()
->insert(['title', 'body', 'published'])
->values($select)
->execute();
注釈
クエリービルダーでレコードを insert すると、 Model.afterSave
のような
イベントは発生しません。代わりに データ保存のための ORM
が利用できます。
クエリーの insert と同様に、update のクエリーを作成するのに find()
を使わないでください。
代わりに、 query()
を使って新たな Query
オブジェクトを作成します。
$query = $articles->query();
$query->update()
->set(['published' => true])
->where(['id' => $id])
->execute();
通常は、エンティティーを使い、 patchEntity()
でデータを
update するほうが簡単です。
注釈
クエリービルダーでレコードを update すると、 Model.afterSave
のような
イベントは発生しません。代わりに データ保存のための ORM
が利用できます。
クエリーの insert と同様に、delete のクエリーを作成するのに find()
を使わないでください。
代わりに、 query()
を使って新たな Query
オブジェクトを作成します:
$query = $articles->query();
$query->delete()
->where(['id' => $id])
->execute();
通常は、エンティティーを使い、 delete()
でデータを
delete するほうが簡単です。
ORM とデータベースの抽象層では、ほとんどの SQL インジェクション問題を防止してはいますが、 不適切な用法により危険な値が入り込む余地も依然としてありえます。
条件配列を使用している場合、キー/左辺および単一の値の入力は、ユーザーデータを含んではいけません。
$query->where([
// キー/左辺のデータは、生成されたクエリーにそのまま挿入されるので、
// 安全ではありません
$userData => $value,
// 単一の値の入力にも同じことが言えますが、
// どの形式のユーザーデータでも安全に使用することはできません
$userData,
"MATCH (comment) AGAINST ($userData)",
'created < NOW() - ' . $userData
]);
Expression ビルダーを使う際には、カラム名にユーザーデータを含めてはいけません。
$query->where(function (QueryExpression $exp) use ($userData, $values) {
// いずれの式 (expression) の中であってもカラム名は安全ではありません
return $exp->in($userData, $values);
});
関数式を構築する際、関数名にユーザーデータを含めてはいけません。
// 安全ではありません
$query->func()->{$userData}($arg1);
// 関数式の引数としてユーザーデータの配列を使うことも安全ではありません
$query->func()->coalesce($userData);
未加工 (raw) の式は安全ではありません。
$expr = $query->newExpr()->add($userData);
$query->select(['two' => $expr]);
バインディングを使用することにより、多くの安全でない状況から保護することが可能です。
プリペアードステートメントへの値のバインディング
と同様に、 Cake\Database\Query::bind()
メソッドを使用して、
クエリーに値をバインドすることができます。
次の例は、上記の安全ではない SQL インジェクションが発生しやすい例を安全に変更したものです。
$query
->where([
'MATCH (comment) AGAINST (:userData)',
'created < NOW() - :moreUserData'
])
->bind(':userData', $userData, 'string')
->bind(':moreUserData', $moreUserData, 'datetime');
注釈
Cake\Database\StatementInterface::bindValue()
と異なり、
Query::bind()
は、コロンを含む名前付けされたプレースホルダーを渡す必要があります!
クエリービルダーでは UNION
クエリーやサブクエリーのような複雑なクエリーも構築することができます。
UNION は1つ以上のクエリーを一緒に構築して作成します。
$inReview = $articles->find()
->where(['need_review' => true]);
$unpublished = $articles->find()
->where(['published' => false]);
$unpublished->union($inReview);
unionAll()
メソッドを使うことで UNION ALL
クエリーを作成することもできます。
$inReview = $articles->find()
->where(['need_review' => true]);
$unpublished = $articles->find()
->where(['published' => false]);
$unpublished->unionAll($inReview);
サブクエリーはリレーショナル・データベースにおいて強力な機能であり、CakePHP ではそれを実に直感的に 構築することができます。クエリーを一緒に構築することで、サブクエリーを作ることができます。
// 3.6.0 より前は、代わりに association() を使用
$matchingComment = $articles->getAssociation('Comments')->find()
->select(['article_id'])
->distinct()
->where(['comment LIKE' => '%CakePHP%']);
$query = $articles->find()
->where(['id IN' => $matchingComment]);
サブクエリーはクエリー式のどこにでも使うことができます。
たとえば、 select()
や join()
メソッドの中でもです。
ほとんどのリレーショナル・データベース製品は、SELECT 操作を行う際のロックをサポートします。
これは、 epilog()
メソッドを使用することで可能です。
// MySQL の場合、
$query->epilog('FOR UPDATE');
epilog()
メソッドは、クエリーの最後に生の SQL を追加することができます。
決して生のユーザーデータを epilog()
にセットしないでください。
クエリービルダーはほとんどのクエリーを簡単に構築できるようにしてくれますが、 あまりに複雑なクエリーだと、構築するにも退屈で入り組んだものになるかもしれません。 望む SQL を直接実行 したいかもしれません。
SQL を直接実行するということは、走ることになるクエリーを微調整できることになります。
ただし、そうしてしまうと、 contain
や他の高レベルな ORM 機能は使えません。